五島手延べうどんごとうてのべうどん

五島手延べうどん*は、島の特産である食用の椿油を塗布しながら、棒状の生地を2本の箸にかけて引き延ばしては束ねる作業を繰り返して紐状の細い麺にしていき、この過程でしっかりと熟成を重ねたあと、乾燥させる。この伝承の技を受け継ぐ麺匠の腕によって、コシが強く、切れにくい手延べうどん特有の麺へと仕上がっていく。この手延べうどんが根付いた五島列島は水田耕作よりも畑作による小麦の栽培が盛んであり、保存食として重宝されていたと言われている。
 五島手延べうどんの発祥については、遣唐使船説*、元寇時の捕虜説、日明貿易説、江戸期の関西や瀬戸内海地からの漁師移住説などさまざまあり、定かでない。
 食べ方としては麺を茹でた鍋ごと食卓に提供する「地獄炊き」が一般的であったが最近では観光客用に様々なうどんが供されている。
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みどころ

白磁のように艶〈つや〉があり、プルンと滑らかな食感と、麺自体の持つ豊かな風味と椿油が調和して、シンプルでありながらも、奥深い味わいを引き出しているのが、最高品質を誇る五島うどん最大の特長。
 うどんづくりは、小麦粉と水、海塩を混ぜ合わせる「練り上げ」に始まり、足踏みで生地を延ばし、いくつもの工程を経て、棒状から繊細で美しい紐状へ徐々に細くなっていく。
 秋風が島に渡る頃に漁の最盛期を迎えるあご(飛魚)を炭火で焼き、乾燥させて作る焼きあごは、コクのある上品な「だし」へと生まれ変わる。あごだしと五島うどんとの相性は抜群。上五島の豊かな風土がはぐくんだ極上の逸品といわれる理由がそこにある。
 島内でうどんを製造している業者は40軒程度であるが、この島内で40軒と聞けばその多さに驚かされる。現に五島島内のスーパーや土産品店にならぶ乾麺の五島うどんの種類の多さには驚かさせる。現地で食べる五島うどんに感激するが、お土産用の乾麺と顎あごだしスープを自宅でシンプルに食べる五島うどんもさっぱりしており特徴を味わえ美味である。
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補足情報

*手延べうどん:粉をねりあげた生地を棒状にし、2本の棒の両端に掛けて何度も引き伸ばし細めながらうどんの形に仕上げられたもの。のどごし重視のうどん。一方手打ちうどんとは、粉を練り上げた生地をこねてから足で踏みその後、麺棒で平たく伸ばしていき、包丁で切ったもの。コシ重視のうどん。
*五島うどんのルーツ:近年の研究では製法が似ていること、寧波(にんぽう)と五島は遣唐使船が往来する際の寄港地であったこと、うどんが遣唐使船の保存食であったことなどから、中国・浙江省に伝わる索麺がうどんのルーツではないかといわれている。
関連リンク 五島手延うどん協同組合(WEBサイト)
参考文献 五島手延うどん協同組合(WEBサイト)
長崎県の歴史散歩 山川出版社
うちの郷土料理(農林水産省)(WEBサイト)
「旅」 新潮社 No.977 2008.10

2024年09月現在

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