若松瀬戸わかまつせと

新上五島町若松郷は約30の群島から成り、若松瀬戸を挟み中通島の西側の西島を含めて若松郷という。新上五島町奈良尾港から自動車で16.5km、約20分に位置する。若松瀬戸は若松島と中通島の間の瀬戸で複雑に変化するリアス海岸で西海国立公園に指定されている。瀬戸の急流と点在する小島が調和して美しい景観となっている。海がきれいな若松瀬戸では、真珠の養殖と真珠母貝養殖が行われている。
 日島(ひのしま)、有福島、漁生浦島(りょうぜがうらしま)は若松島と橋でつながり、瀬戸には白く輝くトラス構造の若松大橋(522m)が架かり、生活や観光の利便性がよくなった。
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みどころ

若松大橋では中央付近の渦潮やたもとの入り江の海の色、橋の下を大小の船が行き交うなどの風景に出会える。「潮の香薫る公園」は若松大橋の若松島側に整備されている公園で公園内は四季折々の花が咲き、道路に面した場所にある花時計は季節によって異なる花が彩る姿を楽しめ、若松瀬戸の水際には遊歩道があり、潮の流れを間近に見ることができる。
 若松港の北側にある標高138mの龍観山展望所は若松瀬戸を一望できる絶景のビュースポット。山の上からの俯瞰が優れており、若松大橋の白、海と空の青、山々の緑、島々が織り成す複雑な入り江は見事なコントラスト。春先は展望広場に桜の花が咲き、花見やピクニックに訪れる人で賑わう。ただし道が狭いので車の運転には対向車に注意が必要。
 若松瀬戸を巡るクルーズも魅力的である。若松港から出港し、船の上からのぞく泳ぐ魚、海の上からみわたす教会や山並み、潜伏キリシタンの記憶が色濃く残る「キリシタン洞窟*」見学、浸蝕崖「ハリノメンド」などを巡るもの。特に桐集落の海はエメラルドグリーンの透明度の高い海が魅力的。
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補足情報

*キリシタン洞窟:幕末から明治初期にかけて、キリシタン弾圧は激しくなり、1868(明治元)年久賀島の「牢屋の窄*」を皮切りに「五島崩れ」と呼ばれるキリシタン弾圧が起こり、ここ若松地区周辺でも弾圧の嵐が吹き荒れた。里ノ浦地区のキリシタン、山下与之助らは迫害を逃れるために、船でしか行くことのできないこの洞窟に身を隠していた。しかし沖を通る漁船に見つかり、役人に通報されて捕らえられた。その後、苦しみに耐え、信仰を守り抜いてきた先人たちをしのび、その悲しみを永く祈念するために、洞窟の入口に高さ4mの十字架とキリスト像が建てられたもの。
*牢屋の窄(さく):12畳の牢屋に約200名が閉じ込められ、42名が亡くなった事件。この地に牢屋の窄殉教記念教会が建てられている。
関連リンク 新上五島町観光物産協会 (WEBサイト)
参考文献 新上五島町観光物産協会 (WEBサイト)
長崎しま旅行こう(一般社団法人長崎県観光連盟)(WEBサイト)
「若松瀬戸・キリシタン洞窟クルーズ」新上五島町観光物産協会 (WEBサイト)
新上五島の日々② 新上五島町
五島列島をゆく(西海への旅・その歴史と風土) 有限会社海鳥社

2024年09月現在

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