和多都美神社わたづみじんじゃ

浅茅湾の入り江のひとつ仁位(にい)湾にある古社。祭神は彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)と豊玉姫命(とよたまひめのみこと)の夫婦神。豊玉姫命は海神である豊玉彦尊(とよたまひこのみこと)の娘で、「古事記」の海幸山幸神話*に登場する女神。航海守護・安産・豊漁などの庶民にも身近な神徳があるとされる。
 豊玉彦尊がこの地に海宮(わたつみのみや)と呼ばれる宮殿を造り、それが和多都美神社の始まりになったという、竜宮伝説が残る。
 拝殿正面の5つの鳥居のうち2つは海中にそびえ、潮の干満によりその様相を変える。本殿裏手には、豊玉姫命の墳墓とされる岩がある。
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みどころ

入り組んだ浅茅湾の最奥に、深い原生林に守られるようにしてひっそりとたたずんでいる。静かな海、緑濃い山と一体となった境内には、神秘的な空気が漂う。
 社殿の前、潮が満ちてくると海に浮かぶ鳥居は、まるで海の世界と陸の世界とをつなぐ入口のように思えてくる。
 シーカヤックで海から参拝するプログラムもある。
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補足情報

*山幸海幸神話:山幸彦は、兄である海幸彦の釣り針を海でなくしてしまい、海底のワタツミノミヤへと探しに出る。そこで美しい豊玉姫(とよたまひめ)と出会い、夢のような約3年を過ごす。山幸彦は釣り針のことを思い出し、豊玉姫の力を借りて探し出し、山幸彦はそれを持って帰国し、釣り針を兄に返すが、その後、兄と対立してしまう。しかし、豊玉姫の父・海神から、潮の干満を支配することができた宝玉の力を得たことにより、兄は山幸彦に仕えるようになった。
*壱岐・対馬の神社:壱岐・対馬には、非常に多くの神社がある。式内社(平安時代(10世紀)に編纂された「延喜式」神名帳に記載があり、古くから朝廷に認められた神社)の数は、壱岐が24座、対馬が29座を数え、肥前(現在の長崎県と佐賀県に相当)が4座であるのと比べるとその差は歴然。国境の島である壱岐・対馬は、昔から海上交通の要衝と国防の最前線であり、航海の安全や武運を祈って多くの神社が建てられた。
関連リンク 和多都美神社(WEBサイト)
参考文献 和多都美神社(WEBサイト)
一般社団法人対馬観光物産協会(WEBサイト)
一般社団法人対馬観光物産協会(WEBサイト)
現地の案内板
「日本遺産『国境の島』のひみつ」(日本遺産「国境の島」推進協議会(長崎県・対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町) 平成31年3月)

2024年10月現在

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