椎根の石屋根倉庫しいねのいしやねそうこ

食料品や衣類、農具や漁具などの日常生活用品を保管するための倉庫。高床式の倉庫に平たい自然石で葺いた屋根を乗せている。柱は椎材で、周囲の壁、床、天井には松材が用いられている。
 対馬は、冬になると強い北西の季節風が吹きつける。強い風や火事から貴重品を守るため、石で屋根を葺いた頑丈な倉庫が造られた。対馬には板状に薄くはがれやすい特徴を持つ粘板岩*、砂岩、頁岩*が多く産出し、屋根を葺くのに格好の素材がたやすく手に入った。
 かつては対馬全島でみられたが、瓦葺きに葺き替えたものが多く、現在まとまった数を見られるのは椎根地区のみ。対馬の倉庫は、火事の延焼を防ぐため母屋とは離れて建てられていることが多く、椎根地区では、山裾に母屋、川沿いに倉庫が密集している。
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みどころ

趣のある石を何層にも積み重ねた重厚なたたずまい。
 倉庫は今も現役で使われていて、各家の倉庫が集まる作業空間には、生活の匂いが立ち込める。
 石屋根倉庫は椎根地区など一部でしか見られなくなったが、高床式の倉庫は今でも対馬のあちこちで見かける。対馬の風土に寄り添い育まれてきた、ここならではの暮らしのあり方を伝えている。
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補足情報

*粘板岩:泥岩あるいは頁岩が弱い変成作用を受け、薄く板状に割れやすい性質をもつ泥質の岩石。スレートともいう。
*頁岩:泥質の堆積岩のなかで、薄くはげやすい性質をもつ岩石。
関連リンク 一般社団法人対馬観光物産協会(WEBサイト)
参考文献 一般社団法人対馬観光物産協会(WEBサイト)
現地の案内板
対馬文化財図録「対馬市の文化財」(対馬市教育委員会 文化財課 平成22年3月発行)

2024年09月現在

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