虹の松原にじのまつばら

松浦川口の東唐津から浜玉町玉島川尻まで、ゆるい弧を描く砂浜にクロマツがびっしりと根をはっている。幅400~700m、長さ約4.5kmにわたる広大な松原は、日本三大松原*のひとつで、玄海国定公園を代表する景勝地である。初代唐津藩主・寺沢志摩守広高が防風防潮林として植えたもので、現在約100万本。遠浅で波静かな海岸は絶好の海水浴場。
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みどころ

弧状に、約4.5kmにわたって広がる松原と砂浜の景観が非常に美しい。玄海の潮風に堪えたクロマツは趣のある姿である。見事な枝ぶりを示し、ゆるく弧を描く砂浜とともに典型的な白砂青松の景観を見せる。海岸縁を歩いたり、松林の中を散策したりするのもいいが、景観全体を眺めるには、鏡山に登るといい。眼下に、唐津湾に沿って続く白砂の砂浜と松原を一望できる。
 およそ400年前に、初代唐津藩主・寺沢志摩守広高が背後にある農地を守るために植林したという逸話や、豊臣秀吉に関する伝説*なども残っており、こうしたストーリーも風景に価値を与えている。
 松原の中にはクロマツなどが密集し、独特の景観を作り出している。近年、広葉樹の侵入や草本類の繁茂によって景観の低下が危惧されていたが、昔の白砂青松の風景を再生したいとの県民や市民の強い要望から、2007(平成19)年ごろから、佐賀森林管理署、佐賀県、唐津市などの行政機関と住民らが一体となって虹の松原の保全・再生に関する活動を行っている。白砂青松を守る活動は虹の松原が日本で最初だそうで、地域住民の虹の松原への愛着、環境意識の高さも、魅力の一つとなっている。
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補足情報

*日本三大松原:静岡の三保の松原、福井の気比の松原とともに日本三大松原と呼ばれる。日本三大松原の中では唯一の特別名勝指定。
*豊臣秀吉に関する伝説:豊臣秀吉が名護屋城へ向かう折に当地を通り、騒々しいセミの鳴き声を叱って以来、セミの声が絶えたという伝説をはじめ、秀吉にまつわる逸話が残っている。