武雄温泉の大衆浴場たけおおんせんのたいしゅうよくじょう

温泉駅の西方、蓬莱山麓に湧く武雄温泉は「肥前風土記」にも登場し、神功皇后が三韓出兵の折に湯浴みしたと伝わる古湯。湯は弱アルカリ単純泉で、疲労回復・神経痛・筋肉痛・関節痛などに効能があるという。温泉街の中心には竜宮城のような朱塗の楼門が立ち、ひときわ目を引く。設計は東京駅舎などを手がけた辰野金吾で、国の重要文化財に指定されている。
 この楼門の先に浴場が集まるエリアがあり、大衆浴場3つと、1室1時間料金が設定されている貸切3つが立ち並ぶ。大衆浴場として有名なのは元湯と蓬莱湯。ともに洗い場と湯船のシンプルな造りだ。
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みどころ

大衆浴場が立ち並ぶエリアへは、色鮮やかな朱塗りの楼門をくぐって入っていく。まずはこの楼門に注目してほしい。辰野金吾建築ファンならずとも、その勇壮な楼門の姿には感動を覚えるだろう。近年、東京駅にある「8つの干支」との関連性が、この楼門の2階にあることが分かり、話題となった。
 元湯は、ぬる湯とあつ湯があり、入り口にその日の温度表示がされているのが面白い。元湯は、現在使用されている温泉施設としては日本最古のものとされ、建築は1876(明治9)年。補修されているものの、古い湯屋建築の中で温泉に浸かれるのがいい。
 また、貸切湯も独特。殿様湯は、その名の通り、江戸時代中期、領主であった武雄鍋島氏の専用風呂として造られた総大理石の見事な風呂。殿様湯のとなりには、四畳半の控え室がある家老湯があり、価格も殿様湯よりやや安い。