寒霞渓かんかけい

瀬戸内海国立公園を代表する景勝地の一つ。東西7km、南北4kmの渓谷に、約1300万年前の火山活動により堆積した安山岩や疑灰角礫岩などが、度重なる地殻変動と侵食により、断崖や奇岩群を形成している。日本書紀にもその記述があり、元々は鉤懸山(かぎかけやま)、神懸山(かみかけやま)などと呼ばれていたが、1878年(明治11)年に儒学者の藤澤南岳(ふじさわなんがく)により寒霞渓と命名された。渓谷と名が付くが、特徴的な川や滝があるわけではない。
 山桜やツツジの咲く春、新緑の季節もよいが、とくに秋の紅葉は岩山に映えて美しい。冬には降雪もあり、水墨画のような景色を楽しめることも。
 島の南岸の草壁(くさかべ)から入ると、紅雲亭と山頂をロープウェイが結んでおり、小豆島ブルーライン*を利用して車で頂上に行くこともできる。山頂部には第1、第2、鷹取、四方頂の4つの展望台があり、レストランや売店がある。表十二景、裏八景、小豆島最高峰の星ヶ城山への登山道も整備されており、奇岩や自生した植物を間近で観察することができる。
 なお、2022(令和4)年4月からは、瀬戸内国際芸術祭2022作品「空の玉/寒霞渓」が完成し、公開されている。1300万年前の火山活動で誕生し悠久の歳月で形成された角礫岩の渓谷に飾られた見晴らし台の芸術作品である。
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みどころ

瀬戸内海の島の、海から比較的近い場所にこのような景観が見られることが面白い。車でも頂上に行くことができ、周回の登山ルートもあるので、季節や予定に合わせていろいろな観光プランが考えられる。山頂の駐車場は広く、レストランのほかピクニックができるような場所、建設費約1億円の豪華トイレもあり快適。
 なんといっても紅葉の時期が最高で、11月がハイシーズン。ロープウェイは架けられている位置が絶妙で、徒歩では見られない景色が見られる。ぜひ利用したい。絶壁に迫っていく上り方向はもちろん、内海湾を見下ろす下り方向の景色もよい。登山道の表十二景は大部分が舗装されていて、比較的勾配も緩やか。裏八景はやや足元が悪い所もあり、表十二景よりも勾配がきついが、巨大な石のアーチ「石門」や岩窟霊場の「石門洞(せきもんどう)」があり、付近は紅葉が美しい。草壁から紅雲亭に向かう途中にある内海ダム東岸の寒霞渓湖広場からのパノラマは壮観で、絶好の撮影スポットになっている。(勝田 真由美)
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補足情報

*小豆島ブルーライン:県道寒霞渓公園線。草壁から島の最高峰星ガ城山の東中腹を回り、寒霞渓山頂で寒霞渓スカイラインと結ぶ。車窓からの展望が抜群。