さぬき豊浜ちょうさ祭
観音寺市豊浜町*で10月の第2日曜日を含む金・土・日の3日間に行われる祭礼。五穀豊穣と海上安全、豊漁を祈り、平穏を神に感謝する神事で、地元住民が中心となって伝統をよく受け継いでいる。各地区が誇る23台の「ちょうさ」が御輿のお供として太鼓を鳴らしながら町内を練り歩く。ちょうさとは内部に太鼓が積み込まれた山車(太鼓台)の一種で、担ぎ棒がついている。ルーツは祇園祭に登場する「かき山」と言われ、布団を7段重ねした「七重」、担ぎ棒の上に「掛布団」と呼ばれる豪華な布団を乗せており、200以上の部品で構成されている*。総重量2t、高さは5mくらいあり、担ぎ棒の長さは13~14mある。祭りのハイライトは、最終日の午後に一宮神社で行われる「かきくらべ」。地区ごとにお揃いの法被を着た担ぎ手たち100人余りで、金糸刺繍で豪華絢爛に飾られたちょうさを盛大に担ぎ上げる姿は圧巻。
1993(平成5)年、町内にオープンした「ちょうさ会館」には実物大のちょうさが展示されている。
1993(平成5)年、町内にオープンした「ちょうさ会館」には実物大のちょうさが展示されている。
みどころ
祭り初日の午後、豊浜八幡神社に次々と23台のちょうさが集合し、祭りの安全祈願をした後、町内を巡行する。2日目の午前中は町内を巡行し、午後、豊浜八幡を出発する神輿を追いかけるように、ちょうさが御旅所*の和田お祭り広場に集結する。夜はちょうちんを付けたちょうさのパレードやスポットライトが当たるなか「担きじょう」(かきちょうさ)が行われる。最終日は、豊浜港で神輿が船渡御を終えた後、15時頃から、一宮神社に集結していたちょうさが一の宮公園に4、5台ずつ出て、「かきくらべ」が始まる。担ぎ棒を頭上高く持ち上げる、放り上げる、ちょうさを大きく揺らすなどのパフォーマンスを行う。16時半に神輿が一足先に豊浜八幡へ向けて出発。ちょうさは18時頃、一宮神社を出て、19時から豊浜八幡で「おいり」が行われる。ちょうちんに明かりを灯したちょうさがあぜ道を連なって行く様子は幻想的である。
人口1万人足らずの旧豊浜町には27の自治会があり、新調すると1台5~6千万円もするちょうさを23台保有している。地元の祭りにかける情熱と、伝統を継承しようとする強い願いが感じられる。(勝田 真由美)
人口1万人足らずの旧豊浜町には27の自治会があり、新調すると1台5~6千万円もするちょうさを23台保有している。地元の祭りにかける情熱と、伝統を継承しようとする強い願いが感じられる。(勝田 真由美)
補足情報
*豊浜町:香川県三豊郡にあった町。2005(平成17)年に旧・観音寺市、大野原町との対等合併により観音寺市となり消滅した。観音寺市内には117台のちょうさがあり、10月には各地区でちょうさ祭が開催され、まちは太鼓の音と熱気に包まれる。
*ちょうさは分解して倉庫に保管しておき、祭に合わせて組み立てる。
*御旅所(おたびしょ):神社の祭礼において神体を乗せた神輿が巡行の途中で休憩または宿泊する場所、あるいは神幸の目的地のこと。
*ちょうさは分解して倉庫に保管しておき、祭に合わせて組み立てる。
*御旅所(おたびしょ):神社の祭礼において神体を乗せた神輿が巡行の途中で休憩または宿泊する場所、あるいは神幸の目的地のこと。
関連リンク | 観音寺市(WEBサイト) |
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参考文献 |
観音寺市(WEBサイト) うどん県旅ネット(公益社団法人香川県観光協会)(WEBサイト) さぬき豊浜ちょうさ祭 『香川県の歴史散歩』(山川出版社) |
2022年11月現在
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