「瓦そば」は熱した瓦の上に茶そば、錦糸卵、牛肉などをのせ、小ネギ、海苔、輪切りのレモンともみじおろしが添えられて提供されることが多く、麺つゆにつけて食す。「瓦そば」が生まれたのは、JR山陽本線下関駅から北へ23kmの道のりのところにある川棚温泉＊である。1962（昭和37）に、現在は「瓦そば」の専門店となった「たかせ」は、当時旅館を営んでいたが、「下関の奥座敷」といわれる川棚温泉の名物を作ろうと思い立ち、考案したものだという。瓦＊にそばをのせるという発想は、古老から聞いた西南戦争の際、熊本に布陣した薩摩兵が肉や野草を瓦で焼いて食べたという話がヒントだったという。
　旅館の廃業に伴い、「瓦そば」も一時食べることはできなくなったが、その後、専門店として再出発したところ、川棚温泉の名物料理となり、他の旅館や飲食店でも提供するようになったという。近年では、山口県内の旅館、飲食店はもとより全国各地の飲食店などでも提供するところも現れ、テレビで紹介されるなど山口県の郷土料理として人気を博している。