山口県政資料館やまぐちけんせいしりょうかん

旧県庁舎

旧県議会棟

現在の山口県庁に隣接して建つ山口県旧県庁舎と旧県会議事堂の2棟を、1985（昭和60）年に県政資料館として開館した。建物は明治期の建築界の巨匠といわれる妻木頼黄（つまきよりなか）＊の指導のもと設計され、いずれも煉瓦造2階建で1913（大正2）年に起工し1916（大正5）年に完工した。後期ルネッサンスシズムを主体に、細部意匠に日本の伝統を融合させた建物であることから、わが国の近代建築の先駆的な建築様式として価値が高いとされる。旧県庁舎は県の産業や観光などを、旧議事堂は議会資料や県政のあゆみを紹介している。なお、旧議事堂については平成期に大規模な保存修理、復原工事を行っており、議場（現・夢交流ホール）や議長副議長室なども復原されている。入館は無料。

みどころ

                            山口県庁の敷地内に入ると、正面に優美で威厳のある建物が2棟並列しているのが、際立っている。一見すると石造りにみえるが、レンガ造りで、腰壁などに花崗岩を使う以外は、表面モルタル塗りに横目地を入れ石造りにみせているという。欧米の新しい風潮を取り入れつつも日本や東洋の伝統的な意匠をベースにしているなど、大正初期の新しい工夫も見られると評価されている。また、県庁舎・議会棟の一体保存としては、山形県とこの山口県の2例しかなく、希少性も高い。建築に興味をもたないものでも、地方行政の近代化の過程のなかで建築された建物として一見の価値はある。                        

補足情報

＊妻木頼黄（つまきよりなか）：1859（安政6）～1916（大正5）年。東京駅で知られる辰野金吾、迎賓館などで有名な片山東熊と並び称される明治建築の巨匠。江戸赤坂に旗本の長男として出生。アメリカ、ドイツに留学の後、諸官庁の建設などに従事、1905（明治38）年に大蔵省臨時建築部長に就任。作品には東京府庁舎、横浜正金銀行本店（現神奈川県立博物館）、日本橋などがある。

関連リンク	山口県庁管財課庁舎管理班（WEBサイト）
参考文献	山口県庁管財課庁舎管理班（WEBサイト）文化庁「国指定文化財等データーベース」　山口県旧県庁舎及び県会議事堂（WEBサイト）「朝日日本歴史人物事典」朝日新聞出版

2025年03月現在

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