青海島おおみじま

仙崎の先端からわずか100mばかり離れた日本海上に横たわり、仙崎とは青海大橋で結ばれている。島は、ほぼ中央でくびれ、標高300m内外の山地*が大部分を占め、平地はほとんどない。しかし、南部は傾斜がゆるやかで、古くから漁業を営む大日比(おおひび)・通(かよい)などの小集落が散在している。北部は日本海の荒波の浸食によって生じた変化の激しい海岸で、花津浦、赤瀬、夫婦洞・観音洞・石門、大門、小門(海上アルプス)・ぞうの鼻・セムラ・仏岩など、無数の奇岩・洞窟が連なる。この青海島の海景を堪能するためには、仙崎側の道の駅「センザキッチン」前の桟橋から出る遊覧船*が最適である。通常は島を一周するが、海が荒れた場合には様々なコースに変更となる。
 また、島内には藩士が自邸で栽培し萩の名産ともなった夏ミカンの原樹・念仏道場の西円寺・くじら資料館*・廃校を活用した交流施設「青海島共和国」*などのみどころがあり、中央部の細くくびれた静ヶ浦一帯にある遊歩道や島の西部にある島内の最高地点高山(標高319m)からは北岸の海景を眺望できる。なお、島内へのバス便はJR長門市駅または仙崎駅から島東端の「通」まである。
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みどころ

海上アルプスとも呼ばれる青海島には、各所にみどころがあるが、やはり、北部海岸線の海食崖や奇岩岩礁の海景が最大の魅力だろう。島一周には遊覧船で80分ほどかかるが、右回りに、花津浦からはじまり、次々に現れる形、色合いが異なる岩礁・海食崖、大きさ、深さが様々な海食洞など変化のある海景には飽きることはない。波が静かであれば、海食洞の中まで進入してくれる。楽しいひと時になるのには間違いない。港に戻って、「センザキッチン」で「仙崎イカ」などこの地の特産品の味を楽しむのも良いだろう。
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補足情報

*300m内外の山地:この山地は青海島の生成に関りがある。約9,000年前日本列島が大陸の一部であった頃、東の縁でマグマの活動が激しくなり、この北長門付近に巨大なカルデラ(凹地)ができた。その縁に出来た裂け目が広がり日本海が形成され、日本列島が現在地に移動した。このため島は火山活動できた凝灰岩類からできており、そこに各所でマグマが入り込んだ形跡がみられる。これらの岩石、地層が隆起と海食を繰り返すことで、現在の山地と海食崖、奇岩岩礁のある海景が形成されたと考えられている。
*遊覧船:一周コースの場合は所要時間約80分、海上の状況によりコース変更になった場合は50~60分。3~11月はおおむね6便。臨時便が出る場合もある。12~2月は3便。
*くじら資料館:沿岸は鯨の通り道であったことから、網に追いたて銛をつく網捕り式の古式捕鯨は、この地では江戸時代から組織的に行われ、近代捕鯨が始まる明治まで行われた。古式捕鯨による捕鯨用具140点等を中心に展示。近くには鯨墓もある。有料。休館日は火曜日。バス停は通漁協前。
*青海島共和国:閉校した青海島小学校校舎を活用し、2007(平成19年)、地域活性化と観光交流の拠点として開設。カマボコ作り体験などの体験メニュー、「マグマの博物館・青海島」など青海島について紹介展示を行っている。