宮島のあなご飯みやじまのあなごめし

あなご飯は、あなごの出汁で炊きあげたご飯の上にあなごの蒲焼きを載せた料理。あなごは蒸す場合もある。宮島と本土側の廿日市市大野との大野瀬戸ではあなごがよく取れ、古くからあなごが食されてきた。大野瀬戸は潮流が速いことから、この地域のあなごは脂がのり、風味、やわらかさに優れており、「瀬戸のあなご」と称される。江戸時代後期に編さんされた広島藩の地誌『芸藩通史(げいはんつうし)』にもこの地のあなごのおいしさが書かれている。
 あなご飯の発祥は、1901(明治34)年に宮島への玄関口である宮島口駅近くで上野他人吉*が駅弁として発売されたのがはじまり。それ以前も地元の料理として白飯の上にあなごを載せる穴子どんぶりはあったが、あなごの出汁で炊いたご飯はこのときに考案されたもの。1950年代後半には、観光や修学旅行のバスが宮島口に何十台も訪れるようになり、バス弁として有名になった。その後宮島を中心にあなご飯を提供する店が増え、現在は宮島名物として広く知られている。
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みどころ

ふっくらと柔らかに炊かれたあなごは風味が豊かで美味しい。特製のタレがご飯に絡んで、あなごの旨味が一層引き立つ。年間通して食されるが、あなごは7~8月、または脂ののる11月が美味とされている。宮島周辺を中心に提供している飲食店が多数あり、店によって味や調理法が異なるので、お気に入りを見つけたい。店内でできたてを食べるもよし、弁当を購入して島内の気に入ったスポットで食べるもよし。
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補足情報

*上野他人吉:「あなごめしうえの(1901(明治34)年創業)」創業者