江の川ごうのかわ

江の川は、広島・島根県境の阿佐山(標高1,218m)に源を発し、幾つもの小支川をあわせながら広島県側を流れ、中国山地を貫流し、島根県江津市で日本海に注ぐ。かつての江の川は平地を流れて日本海に注いでいたが、中国山地の隆起後も川が大地を掘り下げる力のほうが強く、そのままの流れを保ってきたため、中国山地を横切って流れるようになった先行河川*。全長は194km,流域面積は3,900km2で、中国地方一。
 江の川流域が広がる中国山地は、高・中・低の3段に分かれる階段状の地形のため、江の川水系の川でも、その段差を中心に水の流れが幾千年もの歳月をかけて創り出した滝や渓谷があちらこちらに見られる。
 江の川の名称は、1966(昭和41)年に一級河川に指定された際に定められた名称で、それ以前は流域の各地において、可愛川(えのかわ)、郷川(ごうがわ)、江川(ごうがわ)など様々に呼ばれていた。三次市より上流における江の川本流は現在も可愛川とも呼ばれる。『日本書紀』の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)のくだりにもその名が記されており、古くから可愛川の名で親しまれていた。
 山陽と山陰を結ぶという点で古くから交易の要路とされ、高瀬舟(帆船)による舟運が発達していた。また、一説によれば戦国時代末期から始まったとされる鵜飼漁が、明治時代には盛んに行われていた。現在は法律により、観光船が出るときだけ鵜飼をする観光鵜飼として、三次の夏の風物詩となっている。
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みどころ

上流部では、夏の夜、伝統漁法の三次の鵜飼を楽しみたい。三次の鵜飼は周遊方式であり、鵜舟と遊覧船が伴走するため、間近で楽しむことができる。
 中下流部は、清流と深い緑が織り成す変化に富んだ渓谷環境が楽しめる。広島県側では落差126mの常清滝が有名。島根県側は江の川水系県立自然公園に指定され、支川の渓流部には、千丈渓や断魚渓などの景勝地を有する。
 また、広島県側にはカヌー公園、島根県側にはカヌーの里があり、川に近い距離で親しむことができる。
 江の川と並走し、雄大な江の川の景観を車窓から満喫できたJR三江線が2018(平成30)年に廃線となったが、現在は、残った線路の一部を活用したトロッコ運行が期間限定で行われている。
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補足情報

*先行河川:山地の形成以前に流路が決定されていて、現在はその山地を横切って流れる川。
関連リンク 中国地方整備局(WEBサイト)
参考文献 中国地方整備局(WEBサイト)
国土交通省 日本の川(WEBサイト)
三次観光推進機構(WEBサイト)
江川水系県立自然公園(WEBサイト)
国土交通省 江の川なんでも辞典

2025年02月現在

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