備中神楽
約400年前から備中地方一円に伝承されている神楽。その起源は、荒神*を勧請し、その前で演じられる荒神神楽*にある。備中地方の荒神は土地をひらいた地神(産土神・うぶすながみ)としての性質が強く、凶作、疫病、災害などは荒神の祟りであると信じられており、荒神の鎮魂を願う神事として荒神神楽があった。旧来の荒神神楽は面をつけない舞や剣舞が中心で、神職のみにより演じられ、演舞の後には吉凶の託宣がくだされていた。
江戸時代末期に、川上郡上日名(ひな)村(現、高梁市成羽町日名)の神官で国学者の西林国橋(にしばやし・こっきょう)が、『日本書紀』や『古事記』の神話をもとに「大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲り」などの芸能的要素の強い神代神楽(じんだいかぐら)(神能)を創案した。これが人気を呼んで備中神楽の中心を占めるようになり、神職でない玄人の神楽太夫(神楽師)*が奉納に加わることで、さらに演劇性が高められ、地域色豊かな民俗芸能として定着した。1979年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
備中神楽は元来、神社の秋祭り、荒神の式年に奉納される地域に根差したもので、一般の人や観光客が目にする機会は少ない。地域イベントなどで披露されることもあるが、月1回の定期公演としては、岡山後楽園(通年)や岡山県井原市美星町 「吉備高原神楽民俗伝承館」(4~8月)で開催されている。 「吉備高原神楽民俗伝承館」は中世のむらを再現したテーマパーク「中世夢が原」入口にあり、神楽面や衣装の展示のほか、「神殿(こうどの)」*が整備されている。
江戸時代末期に、川上郡上日名(ひな)村(現、高梁市成羽町日名)の神官で国学者の西林国橋(にしばやし・こっきょう)が、『日本書紀』や『古事記』の神話をもとに「大国主命(おおくにぬしのみこと)の国譲り」などの芸能的要素の強い神代神楽(じんだいかぐら)(神能)を創案した。これが人気を呼んで備中神楽の中心を占めるようになり、神職でない玄人の神楽太夫(神楽師)*が奉納に加わることで、さらに演劇性が高められ、地域色豊かな民俗芸能として定着した。1979年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
備中神楽は元来、神社の秋祭り、荒神の式年に奉納される地域に根差したもので、一般の人や観光客が目にする機会は少ない。地域イベントなどで披露されることもあるが、月1回の定期公演としては、岡山後楽園(通年)や岡山県井原市美星町 「吉備高原神楽民俗伝承館」(4~8月)で開催されている。 「吉備高原神楽民俗伝承館」は中世のむらを再現したテーマパーク「中世夢が原」入口にあり、神楽面や衣装の展示のほか、「神殿(こうどの)」*が整備されている。
みどころ
備中神楽は神事的な舞と演劇的な舞で構成されている。神事的な舞は公演の最初と最後に行われ、いわばプロローグ、エピローグになっている。演目は、榊舞、導き舞、猿田彦、託宣に関する舞などである。演劇的な舞でよく演じられるのは、天照大神(あまてらすおおみかみ)が大国主命に国を譲るよう問う『国譲り』と八岐大蛇(やまたのおろち)を須佐之男命(すさのおのみこと)が倒す『八重垣』(大蛇退治)である。また、「桃太郎」のモチーフとなった吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅(うら)を退治する内容の『吉備津』という備中神楽独自の演目もある。
備中神楽の囃子は、おごそかな神事の舞も神代神楽の激しい立ち回りも、ほぼ太鼓のみである。また、「茶利(ちゃり)」という、舞い手がボケて、太鼓がツッコミを入れる漫才のような掛け合いがあるのも特徴のひとつ。たとえば、『八重垣』に出てくる酒造りの神、松尾大明神と太鼓奏者との掛け合いにみられる。『国譲り』で大国主命が福のタネ(餅や菓子)を撒く演出も楽しい。古い信仰の精神を受け継ぐと同時に、見ている人を楽しませる娯楽性があり、その静と動、聖と俗の対比と融合が興味深い。
備中神楽の囃子は、おごそかな神事の舞も神代神楽の激しい立ち回りも、ほぼ太鼓のみである。また、「茶利(ちゃり)」という、舞い手がボケて、太鼓がツッコミを入れる漫才のような掛け合いがあるのも特徴のひとつ。たとえば、『八重垣』に出てくる酒造りの神、松尾大明神と太鼓奏者との掛け合いにみられる。『国譲り』で大国主命が福のタネ(餅や菓子)を撒く演出も楽しい。古い信仰の精神を受け継ぐと同時に、見ている人を楽しませる娯楽性があり、その静と動、聖と俗の対比と融合が興味深い。
補足情報
*荒神:民間信仰の神で、激しい性格のたたりやすい神であるのが通例。一般的には火の神、竈(かまど)神とされるが、備中地方では、屋敷や同族・地域をまもる地荒神、牛馬の守護神とされる。
*荒神神楽:備中神楽には「荒神神楽」と、氏神の例大祭に毎年奉納される「宮神楽」がある。「荒神神楽」は、干支が一巡する13年目あるいはその中年の7年目の式年に行われるもので、田畑に仮設した神殿(こうどの)という舞台で夜を徹して演じられる大掛かりなものである。
*神楽太夫:現代の神楽太夫は普段は一般の職業に従事しており、岡山県神社庁に神楽師として登録し、地域の神楽社とよばれる神楽を演じる団体に属している。
*神殿(こうどの):地域の荒神や八百万の神々を一時的に勧請し、神楽を奉納する舞台。備中神楽は神殿の二間四方(八畳敷き)の座敷で舞われる。元来は荒神社付近の田畑で荒神神楽に合わせ仮設されるものであるが、近年では神社境内に仮設されたり、神社の拝殿、個人宅や集会所などの一間を神殿とすることが多い。
*荒神神楽:備中神楽には「荒神神楽」と、氏神の例大祭に毎年奉納される「宮神楽」がある。「荒神神楽」は、干支が一巡する13年目あるいはその中年の7年目の式年に行われるもので、田畑に仮設した神殿(こうどの)という舞台で夜を徹して演じられる大掛かりなものである。
*神楽太夫:現代の神楽太夫は普段は一般の職業に従事しており、岡山県神社庁に神楽師として登録し、地域の神楽社とよばれる神楽を演じる団体に属している。
*神殿(こうどの):地域の荒神や八百万の神々を一時的に勧請し、神楽を奉納する舞台。備中神楽は神殿の二間四方(八畳敷き)の座敷で舞われる。元来は荒神社付近の田畑で荒神神楽に合わせ仮設されるものであるが、近年では神社境内に仮設されたり、神社の拝殿、個人宅や集会所などの一間を神殿とすることが多い。
関連リンク | 高梁市(WEBサイト) |
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参考文献 |
高梁市(WEBサイト) 高梁川流域連盟(WEBサイト) 井原市観光協会(WEBサイト) 岡山県神社庁神楽部 備中神楽 川面社中(WEBサイト) 備中神楽 北山社(WEBサイト) |
2024年10月現在
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