蒜山高原
蒜山高原は、岡山県最北部、蒜山三座(上蒜山、中蒜山、下蒜山)の南麓に広がる東西20km、南北10km、標高500~600mほどの盆地である。西日本屈指の高原リゾート地で、遊園地、観光牧場、ワイナリー、ハーブ園、乗馬施設など多彩な観光スポットが点在している。鉄道は通っていないが、米子自動車道のインターチェンジから近く、週末や観光シーズンには京阪神、中国・四国方面からの観光客で賑わう。牧歌的な風景とともに、天気の良い日には、名峰、伯耆大山を望むことができる。夏の避暑に適しており、秋は紅葉が美しく、冬は積雪がありスキーなどのウインタースポーツも楽しめる。
旭川源流付近の蒜山盆地はかつて南側の中国山地から日本海側へ傾き、川は日本海に流出していた。約100万年前の火山活動により蒜山山群によって北部が遮られ、さらに約35万年前の大山の噴火によって西側が堰き止められ、湖(蒜山原湖*)となっていた。その後も火山の噴出物で湖の西部が埋まっていき、15万年前頃から湖水が南に流出し、のちに干上がって現在の蒜山高原となった。火山灰土に覆われた土地は、長く原野のまま採草地に利用され、明治から戦中にかけては軍用地として馬の育成場や演習場に利用された。第二次大戦後は入植が行われ、ダイコンの栽培と酪農に活路を見出した。酪農では乳脂肪分が5%と高いジャージー種が飼育されているのが特徴である。
一帯は1963(昭和38)年に大山隠岐国立公園*に編入されている。
旭川源流付近の蒜山盆地はかつて南側の中国山地から日本海側へ傾き、川は日本海に流出していた。約100万年前の火山活動により蒜山山群によって北部が遮られ、さらに約35万年前の大山の噴火によって西側が堰き止められ、湖(蒜山原湖*)となっていた。その後も火山の噴出物で湖の西部が埋まっていき、15万年前頃から湖水が南に流出し、のちに干上がって現在の蒜山高原となった。火山灰土に覆われた土地は、長く原野のまま採草地に利用され、明治から戦中にかけては軍用地として馬の育成場や演習場に利用された。第二次大戦後は入植が行われ、ダイコンの栽培と酪農に活路を見出した。酪農では乳脂肪分が5%と高いジャージー種が飼育されているのが特徴である。
一帯は1963(昭和38)年に大山隠岐国立公園*に編入されている。
みどころ
蒜山三座は、東から下蒜山・中蒜山・上蒜山で、いずれも標高1000mを越え、明瞭なピークを持ち、広い裾野が広がる。高原西部は三木ヶ原(みきがはら)とよばれる代表的な観光スポットで、蒜山三座と大山の眺望がよく、周辺に主な観光施設が点在している。その奥は蒜山大山スカイライン(冬季閉鎖)に連なり、鳥取県との県境にある鬼女台(きめんだい)展望休憩所からは360度のパノラマが楽しめる。
西日本には東日本の軽井沢、八ヶ岳、那須のようによく知られた高原リゾート地がなく、代表的な避暑地として別荘や大学のセミナーハウスが集中している。キャンプ場や観光牧場、ハーブ園、高原を周回する30kmのサイクリングロードなど、自然の中で楽しむアクティビティが充実していて、のんびりとした牧歌的な雰囲気を味わえるのが最大の特長である。中蒜山登山口に続く道の途中には、「日本名水百選」のひとつに選ばれた「塩釜の冷泉」があり、ひょうたん形の泉から1年を通じて水温11度の天然水が湧き出ている。
また、蒜山高原のある岡山県真庭市は内閣府が選定する「SDGs未来都市」の一つで、林地残材や製材端材を活用した木質バイオマス発電事業は全国的に知られ、最近ではCLT(直交集成板)の生産も盛んである。2021年開業の観光文化発信拠点施設「GREENable HIRUZEN」では建築家の隈研吾が設計監修したCLTパビリオン「風の葉」をはじめ、ミュージアム、ショップ、アクティビティを通じて、持続可能なSDGsの価値観を体感することができる。
ジャージー牛乳を使ったスイーツや乳製品、ジンギスカン、蒜山そば*、ご当地グルメの「ひるぜん焼そば」*など、食の楽しみが豊富なのも魅力である。
西日本には東日本の軽井沢、八ヶ岳、那須のようによく知られた高原リゾート地がなく、代表的な避暑地として別荘や大学のセミナーハウスが集中している。キャンプ場や観光牧場、ハーブ園、高原を周回する30kmのサイクリングロードなど、自然の中で楽しむアクティビティが充実していて、のんびりとした牧歌的な雰囲気を味わえるのが最大の特長である。中蒜山登山口に続く道の途中には、「日本名水百選」のひとつに選ばれた「塩釜の冷泉」があり、ひょうたん形の泉から1年を通じて水温11度の天然水が湧き出ている。
また、蒜山高原のある岡山県真庭市は内閣府が選定する「SDGs未来都市」の一つで、林地残材や製材端材を活用した木質バイオマス発電事業は全国的に知られ、最近ではCLT(直交集成板)の生産も盛んである。2021年開業の観光文化発信拠点施設「GREENable HIRUZEN」では建築家の隈研吾が設計監修したCLTパビリオン「風の葉」をはじめ、ミュージアム、ショップ、アクティビティを通じて、持続可能なSDGsの価値観を体感することができる。
ジャージー牛乳を使ったスイーツや乳製品、ジンギスカン、蒜山そば*、ご当地グルメの「ひるぜん焼そば」*など、食の楽しみが豊富なのも魅力である。
補足情報
*蒜山地区は大山隠岐国立公園に含まれていながら、公園の名称には「蒜山」が含まれていないため、国立公園としての認知が進んでいなかった。真庭市は、蒜山地域の一部が国立公園であることを印象付けるため、環境省に対し、名称に「蒜山」を追加するよう要望してきたが、規制区域の拡大等が必要になることから認められず、同省の提案として「国立公園 蒜山」と呼称することとした。
*蒜山原湖では珪藻(珪酸を含む単細胞の植物)が大繁殖し、その遺骸が積み重なり化石化して珪藻土層を形成している。蒜山の八束地区では珪藻土の大規模な露天掘りが行われており、濾過助剤などに使用されている。
*蒜山そば:日中と夜間の温度差が大きく、冷涼な気候はもともとソバの栽培に適していたが、一時は途絶えていたものを1997(平成9)年に水田の転作事業として再開した。例年9月頃、一面に白い花が咲くソバ畑の風景は地元の風物詩。
*ひるぜん焼そば:親鶏の肉とキャベツを具に、味噌だれを用いる。蒜山地方では1960年代頃から、自家製の味噌だれで味付けした焼きそばが食べられていた。2008年に、焼そばを提供していた店舗が「ひるぜん焼そば好いとん会」(下記*参照)を結成し、地元では単なる焼そばとして提供されていたものを「ひるぜん焼そば」と定義づけ、各種イベントでPR活動を行った。2011年の第6回B-1グランプリでひるぜん焼そば好いとん会がゴールドグランプリとなり、全国的に有名になった。
*スイトン:蒜山に昔から伝わる妖怪で「スイー」と飛んできて、一本足で「トン」と立ち、悪いことをする人を食べてしまうという伝承がある。蒜山ではスイトンのモニュメントが各所に置かれている。
*蒜山原湖では珪藻(珪酸を含む単細胞の植物)が大繁殖し、その遺骸が積み重なり化石化して珪藻土層を形成している。蒜山の八束地区では珪藻土の大規模な露天掘りが行われており、濾過助剤などに使用されている。
*蒜山そば:日中と夜間の温度差が大きく、冷涼な気候はもともとソバの栽培に適していたが、一時は途絶えていたものを1997(平成9)年に水田の転作事業として再開した。例年9月頃、一面に白い花が咲くソバ畑の風景は地元の風物詩。
*ひるぜん焼そば:親鶏の肉とキャベツを具に、味噌だれを用いる。蒜山地方では1960年代頃から、自家製の味噌だれで味付けした焼きそばが食べられていた。2008年に、焼そばを提供していた店舗が「ひるぜん焼そば好いとん会」(下記*参照)を結成し、地元では単なる焼そばとして提供されていたものを「ひるぜん焼そば」と定義づけ、各種イベントでPR活動を行った。2011年の第6回B-1グランプリでひるぜん焼そば好いとん会がゴールドグランプリとなり、全国的に有名になった。
*スイトン:蒜山に昔から伝わる妖怪で「スイー」と飛んできて、一本足で「トン」と立ち、悪いことをする人を食べてしまうという伝承がある。蒜山ではスイトンのモニュメントが各所に置かれている。
関連リンク | 岡山観光WEB(公益社団法人岡山県観光連盟)(WEBサイト) |
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参考文献 |
岡山観光WEB(公益社団法人岡山県観光連盟)(WEBサイト) 真庭観光WEB(一般社団法人真庭観光局)(WEBサイト) グリーナブル蒜山(WEBサイト) 「分県登山ガイド 岡山県の山」山と渓谷社 |
2024年10月現在
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