倉敷アイビースクエア
1889年(明治22年)に建設された紡績工場跡を再開発し、1974(昭和49)年に開業した、ホテルと文化施設をあわせもつ複合観光施設。倉敷美観地区に隣接し、その名のとおり、蔦(アイビー)に覆われた赤レンガ造りの建物と、1,400m2にも及ぶ広大な中庭広場(スクエア)が印象的な、地域住民や観光客の憩いの場となっている。敷地内にはホテルやレストラン、宴会場のほか、体験工房や文化施設、地元の特産品を扱うショップなどがある。
江戸時代の倉敷代官所跡地で1889(明治22)年に操業を開始した倉敷紡績所(現、クラボウ)の本社工場は、第二次世界大戦中に軍需工場となり、戦後間もなく操業を休止し放置されたままになっていた。1960年代、急増する倉敷美観地区への観光客に対して、地域の宿泊・飲食施設不足が深刻となり、行政や地域住民からの強い要請を受け、再開発を決定した。再開発にあたり、工房(アトリエ)、考房(セミナー)、交房(サロン)の3つの「こうぼう」をコンセプトに、「スクエア」という名称には単なるホテルではなく人々の交流や独り静かに思考を重ねる場を提供するという意味を込めている。設計は浦辺鎮太郎*1で、文化的にも貴重な創業当時の外観と基本構造を残している。
江戸時代の倉敷代官所跡地で1889(明治22)年に操業を開始した倉敷紡績所(現、クラボウ)の本社工場は、第二次世界大戦中に軍需工場となり、戦後間もなく操業を休止し放置されたままになっていた。1960年代、急増する倉敷美観地区への観光客に対して、地域の宿泊・飲食施設不足が深刻となり、行政や地域住民からの強い要請を受け、再開発を決定した。再開発にあたり、工房(アトリエ)、考房(セミナー)、交房(サロン)の3つの「こうぼう」をコンセプトに、「スクエア」という名称には単なるホテルではなく人々の交流や独り静かに思考を重ねる場を提供するという意味を込めている。設計は浦辺鎮太郎*1で、文化的にも貴重な創業当時の外観と基本構造を残している。

みどころ
旧工場は明治時代の日本の典型的な綿紡績工場のつくりで、英国の影響を受け、レンガ積みの外壁、瓦葺き、のこぎり屋根の平屋建てであった。施設のシンボルの中庭広場は、旧工場の中央部1,400m2の屋根を撤去してつくられた。舗装は機械基礎の石を以前敷かれていた形に似せて左右等間隔に並べ、柱のあった位置にその基礎石を置き、その間は撤去された屋根の瓦を縦に埋め込むものと新しいレンガで交互に敷き詰めている。ホテルの客室をのこぎり屋根のスパンに納まるよう工夫し、屋根裏までを利用して2階建にし、施設全体の外観は旧工場の形を残している。1889(明治22)年の創業当時から使用されていた原綿倉庫を改装した倉紡記念館には、クラボウの歴史が明治・大正・昭和・現在と年代順に展示されている。同じく創業当時の混打綿室を改装したアイビー学館と1906(明治39)年に建てられた製品倉庫を改装した愛美赤煉瓦館*2はイベント・展示スペースになっている。旧工場の敷地は代官所跡地でもあり、美観地区側の西門付近には、復元された井戸や内濠の名残を見ることができる。かつて「分散式寄宿舎」*3が並んでいた道路をはさんで東側の敷地は、大正時代初期に建てられた従業員大食堂を改築した多目的ホールと駐車場になっている。
また、倉敷川から旧工場に至る道路には、原綿を運搬した荷車が通った2列の石畳が復元されている。
また、倉敷川から旧工場に至る道路には、原綿を運搬した荷車が通った2列の石畳が復元されている。

補足情報
*1 浦辺鎮太郎(うらべ・しずたろう、1909~1991年):岡山県児島郡(現、倉敷市)出身。1934年京都帝国大学工学部建築学科卒業後、倉敷レイヨン(現:クラレ)に入社。1962(昭和37)年、社長の大原聰一郎の庇護のもと、社内に倉敷建築研究所を設立。2年後、倉敷建築事務所として独立し、1966(昭和41)年に浦辺建築設計事務所と改称した。大原美術館を設計した薬師寺主計の後継者として、大原聰一郎の構想する倉敷のまちづくりを建築家として支え、1968年の聰一郎の死後も大原家や倉敷に関連する建築を残している。
*2 旧製品倉庫は1972(昭和47)年から2018(平成30)年まで大原美術館・児島虎次郎記念館だった。
*3 分散式寄宿舎:倉敷紡績2代目の大原孫三郎は従業員の労働環境を改善するため、疾病の温床となりやすくプライベートがない大部屋型の寄宿舎を廃止し、少人数で家族的に暮らすことのできる平屋の分散式寄宿舎を採用した。
*2 旧製品倉庫は1972(昭和47)年から2018(平成30)年まで大原美術館・児島虎次郎記念館だった。
*3 分散式寄宿舎:倉敷紡績2代目の大原孫三郎は従業員の労働環境を改善するため、疾病の温床となりやすくプライベートがない大部屋型の寄宿舎を廃止し、少人数で家族的に暮らすことのできる平屋の分散式寄宿舎を採用した。
関連リンク | 倉敷アイビースクエア(WEBサイト) |
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参考文献 |
倉敷アイビースクエア(WEBサイト) 岡山観光WEB(公益社団法人岡山県観光連盟)(WEBサイト) 倉敷観光WEB(倉敷市)(WEBサイト) 「岡山県の歴史散歩」山川出版社 |
2024年10月現在
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