鬼の舌震おにのしたぶるい

JR木次線出雲三成駅から南へ約2.5km。斐伊川の支流馬木川が、花崗岩を浸食してつくりだした約2.3kmに及ぶV字状の渓谷である。V字谷の左右には、大天狗岩、小天狗岩などの岸壁がそびえ立っており、河底には大小の甌穴(おうけつ)群がみられる。
 鬼の舌震の名は、『出雲国風土記』によると、和仁(わに:サメの地方名)が阿伊村の玉日女命(たまひめのみこと)を恋慕い川をさかのぼってくるので、玉日女命は石をもって川をふさぎ、それがこの渓谷で、その名称ものちになって「和仁のしたぶるい」から訛ったものだと言われている。
 下高尾駐車場から宇根駐車場へ徒歩で片道約30分。2013(平成25)年には高さ45m、長さ160mの「舌震”恋“吊橋」とバリアフリー遊歩道が全開通した。ベビーカーや車いすでも楽しめるスポットである。
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みどころ

河岸には切り立った絶壁、谷底には折り重なる巨岩と川の流れが生み出した侵食地形が特異な景観を作り出しており、国の名勝・天然記念物に指定されている。大きな岩がゴロゴロと、渓谷せましとばかりに横たわっているさまは壮観である。また、渓流は飛沫を上げて流れ、時には深淵をつくり、老松や古柏がこれに映えて美しい。また、紅葉の頃には、赤や黄色に染まった木々と常緑樹のコントラストが特に素晴らしい。
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補足情報

*冬季(12月下旬~2月下旬頃)は雪に覆われることが多く、除雪も行われないので、立ち入りは難しい。