加賀の潜戸かかのくけど

JR松江駅から北へ約13km、日本海に面する潜戸鼻にある海岸景勝地。集塊岩及び凝灰質集塊岩からなる潜戸鼻にあり、新潜戸と旧潜戸がある。『出雲国風土記』によると、佐太大神の母神きさ貝比売(きさがいひめ)が、「闇き岩屋なるかも」といって金弓で射抜いたので洞が明るくなったと伝わる。
 地殻変動による断層などに海食作用が加わって生じた洞窟で、新潜戸は岬先端近くにあって高さ30m、幅20m、3つの入口をもち延長200mの大洞窟である。潜戸の鼻の南側にある旧潜戸は、入口の高さ30m、奥行10m。洞内は賽ノ河原といわれ小石を積みあげた塔が無数に並んでいる。塔は親に先立った子が積み重ねたものといわれ、日の出前には砂上に小さな足跡が残っているという言い伝えが、今も生きている。近くの港から遊覧船*が出ている。

※「きさ貝比売」の「きさ」は、上が討で下が虫
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みどころ

神話の舞台とされ、また小泉八雲に「これ以上に美しい海の洞窟はそう考えられるものではない。」と称された洞窟が最大の見所である。
 遊覧船が出ており、夕日や朝日とともに楽しむことができる。とりわけ、夏至の頃になると、朝日が黄金色に輝きながら新潜戸に一直線に射し込むと言われる。その様は黄金の矢のようであり、神話を体験できるスポットとなっている。新潜戸は神潜戸の別名もあるように、海の浸食による自然の造形美と澄んだ海の色が美しく、神秘的な雰囲気を感じることができる。
 一方で旧潜戸は賽の河原あるいは仏潜戸(ほとけくけど)とも言われ、幼くして亡くなった子どもを供養するために積まれた石の塔が建ち並び、衣服やおもちゃが供えられている。
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補足情報

*遊覧船:観光遊覧船があり、加賀の潜戸コースは3月~11月の間、1日8便の運行がある。所要時間は約50分。(季節及び運航状況により変更する場合あり)