打吹玉川の町並みうつぶきたまがわのまちなみ

倉吉市は鳥取県の中央部、鳥取市と米子市の中間に位置し、かつて伯耆国の経済・文化の中心地として栄えた小都市である。室町時代に伯耆国の守護となった山名氏により打吹城(うつぶきじょう)が築かれ、以降、毛利、南条、中村一忠の支配を受けて城下町として発展した。しかし、打吹城は1615(元和元)年の一国一城令により廃城となり、以降、鳥取藩の領地として打吹山麓に倉吉陣屋が置かれた。そして、かつての城下町は江戸時代に木綿、織物、酒造・醸造などの商工業の町として発展し、その繁栄は明治時代まで続いた。
 その歴史的町並みが打吹山の北側に位置する打吹玉川(うつぶきたまがわ)地区である。東西に流れる玉川と呼ばれる用水に沿って白壁の土蔵群が約40棟、本町通りに面して町家が約90棟といった伝統的建造物が現存している。1998(平成10)年に重要伝統的建造物群保存地区として4.7万m2が選定され、2010(平成22)年には西側の西仲町、西町などが追加指定されて9.2万m2となっている。
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みどころ

玉川沿いの街区の見どころは、赤瓦の屋根と白壁土蔵である。
打吹玉川の街区は、本町通り側が格子・出格子の町家としての佇まいであるのに対して裏側の玉川沿いは白壁の土蔵が連なっている。そして、屋根は石州瓦(せきしゅうがわら)という山陰地方独特の雪に強い赤瓦である。これは出雲産の鉄分の多い釉薬(うわぐすり)で焼き上げた独特の赤褐色が特徴で、白壁との対比で明るい町並みを醸し出している。
その白壁は、壁の上半分を白い漆喰仕上げ、下半分は黒い焼き杉板の腰壁を付けている。
いずれも防水と耐火性、風雨からの耐久性を高めるために用いられている。また、玉川の用水には一枚石の橋が架けられている。
主な保存建築物は以下の通りである。
・赤瓦一号館……大正時代の醤油の醪蔵を改装した物産店
・赤瓦六号館……桑田家住宅と醤油醸造施設(県指定保護文化財)、桑田氏庭園(県指定名勝)
・高田酒造………高田家住宅と醸造施設(県指定保護文化財)
主屋は1843(天保14)年築。高田氏庭園(県指定名勝)
・赤瓦七号館……元帥酒造本店
・倉吉淀屋………淀屋の屋号を名乗った倉吉の有力商人、牧田家の住宅(市指定有形文化財)。倉吉で現存する最古の町家建築。主屋は1760(宝暦10)年、付属屋は1838(天保9)年築。
・白壁倶楽部……赤瓦十六号館、レストランとして再生。1908(明治41)年に国立第三銀行倉吉支店として建設された明治の擬洋風建築。(国登録有形文化財)
これらの建物のなかで大正から昭和初期の町家は、物産館(赤瓦八号館)やカフェ、レストラン、ギャラリー、ワイナリー、工房など様々な形で再生が進んでおり、街の賑わいが戻りつつある。
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補足情報

*打吹玉川地区の北側には廃線になった倉吉線の打吹駅を活用した倉吉線鉄道記念館がある。当時の鉄道資料やディーゼル機関車、蒸気機関車が展示されている。
*かつて打吹城のあった打吹山は公園となっており桜の名所である。
関連リンク 一般社団法人倉吉観光MICE協会(WEBサイト)
参考文献 一般社団法人倉吉観光MICE協会(WEBサイト)

2024年06月現在

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