養翠園ようすいえん

養翠園は和歌山市駅から南へ約6km、水軒浜の南端にあり大浦湾に臨む。入江を取り入れ、海水を引き入れた大小の池を中心に老松をめぐらした池泉回遊式庭園である。紀州藩10代藩主徳川治宝が1818(文政元)年から8年かけて造営した大名庭園で、敷地は33,000m2にも及び、その半分が汐入の池が占めるのが大きな特徴である。
 この池には、日本庭園としては珍しい直線状の三ツ橋を渡しており、背後の天神山と章魚頭姿山(たこずしやま)を借景としており、中国の西湖を模したものと伝えられている。この汐入の池は、海南市にある近代の温山荘園の作庭に影響を与えることとなった。なお、海水を取り入れた「汐入大名庭園」は現在、全国で「養翠園」と東京都港区の「浜離宮恩賜庭園」の2ケ所のみとなっている。大名庭園としては、全国唯一の個人所有の庭園である。
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みどころ

養翠園の特徴はまず、海水を引き込んだ「汐入り」の池にある。潮の干満に応じて細波が立ち、水面が上下する独特の風情を感じる。一方、その魅力は全国数少ない池泉形式だけでなく、借景の山々を含め石橋を渡りながら移り変わる景色を楽しめる点にある。入江を挟んだ両岸を繋ぐ堤を池に建築しており、堤を三ツ橋、中島を挟んで太鼓橋が渡している。石橋はもとより護岸石組まで紀州の特産でもある青石で構成。なんとも贅沢な造りであり、養翠園の見どころ*のひとつとなっている。
 植栽は松を主体とし、四季折々に美しい花木が咲き、華やかな雰囲気を漂わせる。春は桜に始まりカキツバタやツツジが咲き、夏はヤマアジサイが美しい。冬は海水温が下がるにつれて藻や濁りが少なくなるため、特に澄んだきれいな汐入りの池を楽しめる。
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補足情報

*養翠園の見どころ:園内には数寄屋造の御茶屋の構造をした「養翠亭」がある。総建坪94坪 、部屋数19室で、藩主が使用した別荘建築として旧地に旧状のまま残る全国的に珍しい建物。老朽化のため1991(平成3)年から1994(平成6)年にかけ文化庁所管の文化財保存全面解体修理をし、往事の姿を留めている。事前予約制で内部見学ができる。
関連リンク 養翠園(WEBサイト)
参考文献 養翠園(WEBサイト)
おにわさん(WEBサイト)
庭園ガイド(WEBサイト)

2025年02月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。