紀三井寺
紀三井寺は紀勢本線紀三井寺駅の南方約600m、名草山の中腹にある。正式名称は紀三井山金剛宝寺護国院(きみいさんこんごうほうじごこくいん)という。通称紀三井寺と呼ばれるのは、寺の周囲に吉祥水・楊柳水・清浄水の3つの井戸があるので三井寺の名が生まれ、近江の三井寺と区別するため紀の字をつけたとされる。
開基は770(宝亀元)年、為光上人が唐から渡来し、十一面観音を本尊として創建したのが始まりとされ、のちに後白河法皇の勅願寺となり、代々の領主も尊崇し保護した。かつては真言宗山階派の寺院だったが1951(昭和26)年に独立し、現在は山内・県下あわせて十六ヶ寺の末寺を擁する救世観音宗(ぐぜかんのんしゅう)の総本山となっている。
1509(永正6)年再建の朱塗3間1戸の楼門は入母屋造、本瓦葺*1で、桃山時代の様式を残す。中央間通路の欄間には彩色の牡丹と唐草の透かし彫がある。鐘楼は1588(天正16)年の再建。正面3間、側面2間の重層、入母屋造で本瓦葺。下層は立板目の板張袴腰で上層には牡丹と獅子を彫刻した蟇股(かえるまた)がある。全体に軽快な感じで桃山時代の特徴がでている。本堂は宝暦年間(1751~64)に紀州徳川家の発願により再建された。正面9間、側面9間、入母屋造、本瓦葺で正面に千鳥破風、唐破風をもち、竜頭や獅子頭など華麗な装飾を施した江戸時代の様式である。古来、本堂に安置されてきた国指定重要文化財の仏像は本堂真奥の収蔵庫・大光明殿にすべて安置されている。5体のうち、中央の2体は50年に一度開扉される秘仏の御本尊・十一面観世音菩薩立像と千手観世音菩薩立像である。その両脇には梵天、帝釈天の2体が移仏2体を守って待している。本堂内陣には十一面観音像と千手観音像が祭られているが、重要文化財の秘仏とは異なるものである。開山堂は正面3間、側面4間の宝形造、朱塗の建物で室町末期の建造。開祖為光上人の木像が安置され、奥ノ院にあたる。多宝塔は開山堂と向かい合ったところにある。1449(文安6)年の再建で、境内では最古の建造物。3間2層、本瓦葺、朱塗で九輪宝珠までの高さはおよそ11mある。細部には室町時代の建築様式が取り入れられている。
楼門から境内までは231段の階段「結縁坂(けちえんざか)」を上る。結縁坂には江戸時代の豪商、紀伊国屋文左衛門の逸話が残っており、この坂で若き日の文左衛門が結婚と出世のきっかけをつかんだことから、商売繁盛・良縁成就・開運の坂として知られる。
西国三十三ケ所第2番札所として名高く、巡礼姿のお遍路さんが杖をつきながら、ひたむきなまなざしでお参りしているのが見受けられ、境内には香煙が絶えない。
開基は770(宝亀元)年、為光上人が唐から渡来し、十一面観音を本尊として創建したのが始まりとされ、のちに後白河法皇の勅願寺となり、代々の領主も尊崇し保護した。かつては真言宗山階派の寺院だったが1951(昭和26)年に独立し、現在は山内・県下あわせて十六ヶ寺の末寺を擁する救世観音宗(ぐぜかんのんしゅう)の総本山となっている。
1509(永正6)年再建の朱塗3間1戸の楼門は入母屋造、本瓦葺*1で、桃山時代の様式を残す。中央間通路の欄間には彩色の牡丹と唐草の透かし彫がある。鐘楼は1588(天正16)年の再建。正面3間、側面2間の重層、入母屋造で本瓦葺。下層は立板目の板張袴腰で上層には牡丹と獅子を彫刻した蟇股(かえるまた)がある。全体に軽快な感じで桃山時代の特徴がでている。本堂は宝暦年間(1751~64)に紀州徳川家の発願により再建された。正面9間、側面9間、入母屋造、本瓦葺で正面に千鳥破風、唐破風をもち、竜頭や獅子頭など華麗な装飾を施した江戸時代の様式である。古来、本堂に安置されてきた国指定重要文化財の仏像は本堂真奥の収蔵庫・大光明殿にすべて安置されている。5体のうち、中央の2体は50年に一度開扉される秘仏の御本尊・十一面観世音菩薩立像と千手観世音菩薩立像である。その両脇には梵天、帝釈天の2体が移仏2体を守って待している。本堂内陣には十一面観音像と千手観音像が祭られているが、重要文化財の秘仏とは異なるものである。開山堂は正面3間、側面4間の宝形造、朱塗の建物で室町末期の建造。開祖為光上人の木像が安置され、奥ノ院にあたる。多宝塔は開山堂と向かい合ったところにある。1449(文安6)年の再建で、境内では最古の建造物。3間2層、本瓦葺、朱塗で九輪宝珠までの高さはおよそ11mある。細部には室町時代の建築様式が取り入れられている。
楼門から境内までは231段の階段「結縁坂(けちえんざか)」を上る。結縁坂には江戸時代の豪商、紀伊国屋文左衛門の逸話が残っており、この坂で若き日の文左衛門が結婚と出世のきっかけをつかんだことから、商売繁盛・良縁成就・開運の坂として知られる。
西国三十三ケ所第2番札所として名高く、巡礼姿のお遍路さんが杖をつきながら、ひたむきなまなざしでお参りしているのが見受けられ、境内には香煙が絶えない。

みどころ
山麓にある朱塗の楼門をくぐると、231段の石段がある。石段を登り高台に出ると、六角堂、鐘楼、大師堂が一直線上に並び、左手奥にはどっしりした本堂が、その右手小高いところには開山堂と多宝塔が立っている。本尊の十一面観世音菩薩様は、厄除・開運・良縁成就・安産・子授けに霊験あらたかとされ、境内は多くの信者でにぎわう。また2008(平成20)年に落慶となった鉄筋コンクリート造の新仏殿には高さ12mの大千手十一面観音菩薩像が安置されており、金色に燦然と輝く姿に思わず手を合わせてしまう。
本堂の境内広場には樹齢400年、周囲6mほどのクスノキの老大樹が茂る。関西一の早咲きを誇る桜も多く、開花期には桜まつりが行われ大勢の人出で賑わう。芭蕉も和歌浦を訪れた折、ここの桜を詠んでおり、その句碑*2は石段の中ほど、今でも清水が湧き出ている清浄水の前に、自然石に刻まれていて数基の歌碑や句碑とともに並んでいる。ライトアップされた夜桜もまた一興である。また高台からの眺めはよく、日本遺産に認定されている和歌浦湾、友ケ島・淡路島などが一望できる。石段を登りきったところには絶景を眺めながら休憩ができるカフェもある。
本堂の境内広場には樹齢400年、周囲6mほどのクスノキの老大樹が茂る。関西一の早咲きを誇る桜も多く、開花期には桜まつりが行われ大勢の人出で賑わう。芭蕉も和歌浦を訪れた折、ここの桜を詠んでおり、その句碑*2は石段の中ほど、今でも清水が湧き出ている清浄水の前に、自然石に刻まれていて数基の歌碑や句碑とともに並んでいる。ライトアップされた夜桜もまた一興である。また高台からの眺めはよく、日本遺産に認定されている和歌浦湾、友ケ島・淡路島などが一望できる。石段を登りきったところには絶景を眺めながら休憩ができるカフェもある。

補足情報
*1 本瓦葺:平瓦と丸瓦を交互に葺いた屋根。
*2 句碑:芭蕉句碑には「見上ぐれば桜しまふて紀三井寺」とあり、すでに花が散り、見られなかったことを残念がった。
*2 句碑:芭蕉句碑には「見上ぐれば桜しまふて紀三井寺」とあり、すでに花が散り、見られなかったことを残念がった。
関連リンク | 紀三井寺(WEBサイト) |
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参考文献 |
紀三井寺(WEBサイト) 和歌山市観光協会(WEBサイト) 和歌山県公式観光サイト(公益社団法人 和歌山県観光連盟)(WEBサイト) |
2025年02月現在
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