紀州東照宮きしゅうとうしょうぐう

紀州東照宮はJR紀伊本線紀三井寺駅より西へ約2km、和歌の浦の北部、天神山の林の中にある。祭神は徳川家康とその10男で紀州徳川家初代藩主の徳川頼宣である。1621(元和7)年に頼宣が家康を祭るために建てたもので、関西日光とも呼ばれ、「権現さん」の名でも親しまれている。参道両側には石灯篭が並び、侍坂と呼ぶ108段の急な石段を登り楼門をくぐると、朱塗と白壁の対照が鮮やかな本殿が鎮座している。社殿は江戸時代初期の代表的な権現造である。また、社殿の彫刻の多くは左甚五郎の作という。境内には他に石の間、拝殿、東西瑞垣、楼門、東西回廊、唐門などが立ち並ぶ。紀州家ゆかりの品は宝物庫に収蔵されており、正月三が日だけ公開される。
 毎年5月に行われる紀州東照宮の大祭の渡御を和歌祭という。東照宮が創建された江戸時代より続くこの祭りは、和歌山の伝統芸能の集約化されたものが行列に参加しているので、民俗的にも貴重な祭典となっている。
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みどころ

青石を敷き詰めた参道は緑のトンネルとなっており、日中でも涼やかで、凛とした空気が漂う。参道を過ぎると侍坂と呼ばれる急こう配の石段がある。石段は煩悩と同数の108段あり、登ることで煩悩を祓うといわれる。石段を登り切った場所にある楼門は朱塗り極彩色で、細かな彫刻や色遣い豊かな文様が見事である。楼門からは和歌の浦の絶景が見渡せる。権現造りの社殿は、左甚五郎作の彫刻や狩野探幽の襖絵があり、こちらも必見。極彩色と金箔のコントラストが美しい。他にも武具類、陶器、絵画などの宝物、重要文化財の刀剣、衣料などの秘蔵も有名である。
 また毎年5月に行われる神輿渡御祭で、東照宮創建以来続く神事「和歌祭」は、和歌山の伝統芸能が集約された行列が参加するなど、民俗的にも貴重なお祭りで和歌山市内が大いに賑わう。