紀の川きのかわ

紀の川は日本有数の最多雨地帯・奈良県大台ヶ原に源を発し、奈良と和歌山の二県を貫いて紀伊水道に注ぐ全長136km、流域面積1,750km2の一級河川である。奈良県では吉野川と呼ばれ親しまれている。和歌山県に入ってからの紀の川は、和泉山脈の南側をほぼ一直線に西流するが、橋本市から紀の川市東部付近では河岸段丘を形成している。和歌山市域では河口部まで南北4kmほどの扇状地(三角州)が広がり、下流域の紀州大橋付近に「中州」と呼ばれる輪中が形成されている。
 紀の川は紀伊国の歴史に大きな関わりあいをもつ。流域には原始・古代の遺跡が多く銅鐸等の出土がみられるほか、豊臣秀吉が紀州進出の際、根来雑賀の拠点であった太田城を攻めるのに、この流れをもって水攻めにした。江戸時代には木材の運搬に利用され、第二次大戦後はダム建設や築堤を行い、用水路を完備することによってミカンなどの果樹栽培を拡大させ、工業用水としても重要な役割を果たしている。
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みどころ

紀の川中流部の船岡山にはツブラジイ(コジイ)群落*があるほか、河口部には複数の干潟が存在し、この干潟はシオマネキ、タイワンヒライソモドキといった大型の底生生物等、多種多様な生物を育む。
 また、和歌山県と奈良県境の真土山、中流部の妹山・背山、河口地域では和歌の浦などの紀の川流域は万葉の時代の古代から多くの歌が詠まれてきた。紀の川は有吉佐和子の代表的な作品『紀ノ川』の舞台ともなっている。この作品では、佐和子自身が和歌山出身であることから、紀州の情景が非常に繊細に表現されている。小説を片手に物語の舞台をめぐるのもまた良いだろう。
 紀の川周辺では、紀の川サイクリングロードやパラグライダーなどのアクティビティ、桃源郷、フルーツなどの味覚も楽しめる。
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補足情報

*ツブラジイ(コジイ)群落:この群落は「郷土景観を代表する植物群落で、その特徴が典型的なもの」として和歌山県版レッドデータブックで選定されている。
関連リンク 国土交通省 近畿地方整備局(WEBサイト)
参考文献 国土交通省 近畿地方整備局(WEBサイト)
わかやま歴史物語100 和歌山県観光振興課(WEBサイト)

2025年02月現在

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