橿原神宮かしはらじんぐう

近鉄橿原神宮前駅中央口から北西に拝殿まで約1km。畝傍山(うねびやま)の東南麓に約53万m2の広大な神域を有する。本殿・内拝殿・外拝殿など、のびやかで豪壮な社殿が深閑とした森に包まれて建つ。第一代天皇である神武天皇はこの地に橿原宮*1を造営し、辛酉年正月に即位したと「日本書紀」に記されている。その即位の地に、1890(明治23)年に創建されたもので、明治天皇に下賜された京都御所の内侍所(賢所)を移築して本殿*2とし、同じく神嘉殿を拝殿とした。この拝殿は1931(昭和6)年に神楽殿に転用されたが、のちに火災で焼失した。現在の神楽殿は1996(平成8)に再建されたもの。また、1940(昭和15)年、神武天皇即位2600年の記念事業が行われ社殿の建造修復、宮域の拡張整備、外苑の造営がなされた。境内は広く、表参道左手には、文華殿*3、宝物館*4がある。また、境内南に広がる深田池には遊歩道が巡っており、さまざまな野鳥を見られる。
 橿原神宮へは橿原神宮前駅で下車して表参道をたどるのがいいが、橿原神宮西口駅から西参道で、畝傍御陵前駅から北参道で境内に入ることもできる。
#

みどころ

橿原神宮前駅から歩きはじめ第一鳥居をくぐり表参道に入れば、まずは豊かな緑の森が目に付く。さらに進み、南神門をくぐると、外拝殿が白砂に映えて立ち、向こうには畝傍山がそびえている。あたりには厳粛な気配が漂い、神武天皇がはじめて天皇の位につかれた地であることを改めて肌で感じることができる。
#

補足情報

*1 橿原宮:「日本書紀」では辛酉年の正月に「天皇即帝位 於橿原宮。是歳爲天皇元年。」(橿原宮において天皇は帝位につかれた。この年が天皇元年となった)とし、神武天皇76年3月に「天皇崩于橿原宮。時年一百二十七歳。」(天皇は橿原宮にて崩御。時127歳。)とも記している。
*2 本殿:1855 (安政2)年に建造された元京都御所の内侍所(賢所)。桁行五間、梁間二間、一重、入母屋造、檜皮葺。国指定重要文化財。通常非公開。
*3 文華殿:天理市柳本町にあった旧柳本藩の陣屋御殿のうち、大書院と玄関を1964(昭和39)年に移築したもの。1844(天保15)年に建てられ、江戸時代の大名居館の格式を示す貴重な建物として国の重要文化財に指定されている。通常非公開。
*4 宝物館:2000(平成12)年に、当橿原神宮御鎮座110年記念として開館。明治天皇が奉納した御太刀や、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が奉納した御鏡、横山大観作の絵画「正気放光」などを展示する。入館有料。