馬見丘陵公園(馬見古墳群)うまみきゅうりょうこうえん(うまみこふんぐん)

奈良盆地の西部、馬見丘陵*1とその周辺地に馬見古墳群がある。奈良県内では佐紀盾列(さきたたなみ)古墳群*2、大和・柳本古墳群*3と並ぶ大型古墳群で、4~5世紀に築造された古墳が多く、総数は250基を超える。古墳群は大和高田市の築山古墳を中心とする南群*4、広陵町の巣山古墳を中心とする中央群*5、河合町の大塚山古墳を中心とする北群*6の3グループに分けるのが一般的で、前方後円墳、前方後方墳、円墳、方墳、帆立貝式古墳など多くの形式の古墳が集積している。中央部の古墳の一部は馬見丘陵公園*7として整備されており、池上古墳、乙女山古墳*8、倉塚古墳、ナガレ山古墳*9、別所下古墳、狐塚古墳などの10を超える古墳が保全され、巣山古墳も隣接している。同公園の公園館では馬見古墳群や周辺の自然に関する解説展示を行っている。
 なお、これらの古墳の被葬者は葛城氏関係とも大王家ともいわれるが、まだ明らかにはなっていない。
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みどころ

馬見丘陵公園内にあるナガレ山古墳は、葺石で覆い埴輪を並べた墳丘が復元されており、古墳の姿を往時に近い状態で学ぶことができる。広大な公園内には、10を超える古墳が点在しているので、散策路に従い巡るだけでも面白い。同時に公園内には、季節の花々が植えられており、池には野鳥も多いので、楽しみが広がる。園内を歩き回る前に公園館で、園内、公園周辺の古墳群や自然について、知識を得ておけば、古墳に関してより深い興味も湧くことだろう。芝生の広場などもあり、池周辺では野鳥観察もできるので、小さな子どもから大人まで、1日楽しむことができる。周辺の古墳も、公園から徒歩圏内のものもあるので、ハイキングがてら足を延ばすのもよい。
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補足情報

*1 馬見丘陵:南北約7km・東西約3km、標高約70mの低丘陵で香芝市・広陵町・河合町など2市3町にまたがる。
*2 佐紀盾列(さきたたなみ)古墳群:奈良市の「平城宮跡」の北側の丘陵地一帯に点在する。4世紀後半~5世紀に築造された。神功皇后陵(五社神古墳・約275m)・ウワナベ古墳(約255m)・磐之媛命陵(ヒシアゲ古墳・約219m)・日葉酢媛命陵(佐紀陵山古墳・約207m)など全長200mを超える巨大な前方後円墳が集まっている。
*3 大和・柳本(おおやまと・やなぎもと)古墳群:天理市南部~桜井市北部の山裾に古墳時代前期(3世紀後半~4世紀)に属する前方後円墳や前方後方墳など約40基がある。大和古墳群は西殿塚古墳(衾田陵 全長約230mの前方後円墳)・東殿塚古墳(全長139mの前方後円墳)・中山大塚古墳(全長約130mの前方後円墳)など。柳本古墳群は黒塚古墳(全長約130mの前方後円墳)・行燈山古墳(崇神天皇陵 全長242mの前方後円墳)・渋谷向山古墳(景行天皇陵 全長約300mの前方後円墳)など。天理市立黒塚古墳展示館では石室の実物大模型、出土鏡のレプリカなどが展示されている。
*4 南群:中心となる築山古墳は5世紀頃に築造された前方後円墳。水濠を含め全長261m。武烈天皇陵ともいわれるが、被葬者は未だ特定されていない。近鉄大阪線築山駅から南へ約400m。
*5 中央群:中心となる巣山古墳は4世紀末の築造で、全長220mの前方後円墳。巣山古墳に隣接する馬見丘陵公園に多くの古墳があるが、公園外にも円墳の牧野古墳、墳丘の長さが約200mの前方後円墳の新木山(にきやま)古墳、帆立貝式古墳の三吉石塚古墳なども点在する。
*6 北群:中心となる大塚山古墳は墳丘全長約197mの前方後円墳。近鉄田原本線池部駅から約1km。
*7 馬見丘陵公園:近鉄田原本線池部駅から緑道を通って南へ約1kmで公園北口。北エリアには大型テント、ダリア園、馬見花苑、花見茶屋、中央エリアには乙女山古墳、ナガレ山古墳などがあり、上池、下池が中央に位置し、公園館、芝生広場、菖蒲園、バラ園、カリヨンの丘が設けられている。北、中央、南エリアの各所にはチューリップ、ヒマワリ、コスモスなどの花畑も配されている。巣山古墳に接する南エリアには春まちの丘などが整備されている。
*8 乙女山古墳:馬見丘陵公園内にあり、5世紀前期の築造で帆立貝式古墳、全長130m。
*9 ナガレ山古墳:馬見丘陵公園内にあり、5世紀前期の築造で前方後円墳、全長105m。