大和文華館
1960(昭和35)年、近畿日本鉄道の創立50周年記念事業の一つとして開館された。蛙股池*1畔の松林に囲まれた小高い所にあり、美術館の建物は日本建築の特色に近代美を生かしている。日本と中国、朝鮮を中心とする東洋古美術をテーマとする展示のほか、講演会などの行われる講堂がある。絵画・書跡・陶磁・彫刻・工芸・染織品など、収蔵の美術品も約2,000点に及び充実している。敷地内はシダレザクラ、ササユリ、ウメ、アジサイなど四季の草木が繁茂する自然園「文華苑」に囲まれており、散策路も設けられている。敷地入口脇には、1985(昭和60)年に明治の名建築である旧奈良ホテルのラウンジが移築されている。
みどころ
アプローチから気品がある。幅広いスロープがゆったりとカーブを描きながら、緑豊かな庭園の中を美術館に導いてくれる。先に進むとなまこ壁を外観の基調にした、落ち着いた建物が見えてくる。一歩、館内に入ると、明かり障子からの柔らかな光が、外からきた目を優しくなじませてくれる。展示スペースはロの字型になっており、中庭の「竹の庭」は自然な環境のもとでの鑑賞を意識したのだろう(天候や展示物によってロールスクリーンが下ろされる)。また、入口とは反対のテラス側に出ると蛙股池に臨み、高円山を遠望する。素晴らしい環境の中で、日本及び東洋美術の秀作に出合うことができる。
補足情報
*1 蛙股池:「日本書紀」の推古天皇15年(607)の条に「倭國に高市池、藤原池、肩岡池、菅原池を作る」と記載されており、「菅原池」が蛙股池にあたるとされている。現存するものでは日本最古の溜池ダムとされる。堤高17m。
関連リンク | 大和文華館(WEBサイト) |
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参考文献 |
大和文華館(WEBサイト) 大和文華館パンフレット 黒板勝美編「日本書紀 訓読下巻」岩波書店 昭和7年 53/183 国立国会図書館デジタルコレクション |
2024年12月現在
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