灘の酒蔵群(灘五郷)
14世紀からの酒造りの歴史を有する灘五郷とは、阪神間の今津郷(西宮市今津周辺)、西宮郷(西宮市西宮周辺)、魚崎郷(東灘区深江、魚崎周辺)、御影郷(東灘区住吉、御影周辺)、西郷(灘区新在家、大石周辺)を指し、東神戸一帯が含まれる。
この灘五郷と呼ばれる一帯は宮水と呼ばれる良質の水、六甲下ろしの寒風、播州米など、酒のために必要な条件をすべて備えており、さらに吉野杉の樽、丹波杜氏*の技術を加えて日本の酒を代表する「灘の生一本」を作り出すに至った。
江戸時代初期は大消費地である江戸向けの「下り酒」の生産については、池田、伊丹(現大阪府)において盛んであったが、明暦から享保(1655~1736年)にかけ、精米や仕込みにおける新機軸の技術の導入や江戸への樽廻船の立地から、この地に次々と酒造家が創業し、享保年間(1716~1736年)には池田、伊丹をしのぎ、天下にその名を知られるところとなった。
初めて「灘」の名称が用いられたのは享保年間の初めころとされ、明和年間(1764~1772年)には「灘目」と称されるようになった。灘五郷は、当初はニ郷から始まったが、江戸後期までには分化し五郷となり、現在の東の今津郷から西の西郷の範囲が定まったのは明治期になってからである。天保年間(1831~1845年)には灘五郷には酒造家257軒があったとされる。
現在、灘五郷酒造組合に参画しているのは清酒25社、みりん1社であり、多くの工場が1995(平成7)年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)によって大きな被害を受けたものの、耐震構造などを施し近代化をさらに進めて復興再建されている。
この灘五郷と呼ばれる一帯は宮水と呼ばれる良質の水、六甲下ろしの寒風、播州米など、酒のために必要な条件をすべて備えており、さらに吉野杉の樽、丹波杜氏*の技術を加えて日本の酒を代表する「灘の生一本」を作り出すに至った。
江戸時代初期は大消費地である江戸向けの「下り酒」の生産については、池田、伊丹(現大阪府)において盛んであったが、明暦から享保(1655~1736年)にかけ、精米や仕込みにおける新機軸の技術の導入や江戸への樽廻船の立地から、この地に次々と酒造家が創業し、享保年間(1716~1736年)には池田、伊丹をしのぎ、天下にその名を知られるところとなった。
初めて「灘」の名称が用いられたのは享保年間の初めころとされ、明和年間(1764~1772年)には「灘目」と称されるようになった。灘五郷は、当初はニ郷から始まったが、江戸後期までには分化し五郷となり、現在の東の今津郷から西の西郷の範囲が定まったのは明治期になってからである。天保年間(1831~1845年)には灘五郷には酒造家257軒があったとされる。
現在、灘五郷酒造組合に参画しているのは清酒25社、みりん1社であり、多くの工場が1995(平成7)年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)によって大きな被害を受けたものの、耐震構造などを施し近代化をさらに進めて復興再建されている。

みどころ
灘五郷の酒蔵群は、摂津灘に沿って東西に長く点在するので、酒蔵通り沿いに歩き通すのはなかなか難しい。また、酒造会社の工場は近代化・大型化しているので、いわゆる白壁の酒蔵とは景観が異なる。ただ、いくつかの酒造会社では工場敷地内に酒造資料館、記念館*を設置しており、かつての酒造りの様子を再現展示したり、試飲コーナーや売店、レストランを設けている。なかには現在の酒造工程を公開しているところもある。これらの資料館や記念館を巡るには、阪神電車の各駅から比較的近いので、これを利用して渡り歩き、飲み比べるのも面白い。

補足情報
*丹波杜氏:丹波篠山(現・兵庫県丹波篠山市)の出身者の集団で、農閑期の「百日稼ぎ」といわれる「出稼ぎ」としてはじまり、その技術力が評価され全国各地の酒造りに貢献した。とくに灘の酒造りの発展に欠かせなかったのは、六甲山の硬水(宮水)を使用した酒造りの仕法に適した丹波杜氏の技術だったといわれ、江戸後期には灘五郷の蔵人(杜氏)を独占していたといわれている。
*酒造資料館、記念館:五郷に点在する資料館、記念館などの主なものは以下の通り。
・西郷:沢の鶴資料館
・御影郷:白鶴酒造資料館、菊正宗酒造記念館、福寿(神戸酒心館)、仙介・琥泉(直売所)、大黒正宗(直売所)、甲南漬(こうべ甲南武庫の郷)
・魚崎郷:浜福鶴(吟醸工房)、櫻正宗記念館(櫻宴)
・西宮郷:日本盛(酒蔵通り煉瓦館=レストラン・売店等)、白鷹(禄水苑=売店・展示室等)、白鹿(酒蔵ミュージアム・白鹿記念酒造博物館・売店・レストラン)、寳娘(直売所)、德若(直売所)
・今津郷:大関(関寿庵)
*酒造資料館、記念館:五郷に点在する資料館、記念館などの主なものは以下の通り。
・西郷:沢の鶴資料館
・御影郷:白鶴酒造資料館、菊正宗酒造記念館、福寿(神戸酒心館)、仙介・琥泉(直売所)、大黒正宗(直売所)、甲南漬(こうべ甲南武庫の郷)
・魚崎郷:浜福鶴(吟醸工房)、櫻正宗記念館(櫻宴)
・西宮郷:日本盛(酒蔵通り煉瓦館=レストラン・売店等)、白鷹(禄水苑=売店・展示室等)、白鹿(酒蔵ミュージアム・白鹿記念酒造博物館・売店・レストラン)、寳娘(直売所)、德若(直売所)
・今津郷:大関(関寿庵)
関連リンク | 灘五郷酒造組合(WEBサイト) |
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参考文献 |
灘五郷酒造組合(WEBサイト) 「灘の酒造業」神戸市文書館(神戸市) 「丹波杜氏」丹波篠山市(WEBサイト) 「日本酒の生酛系造りの手法の違いによる味わいの特性(4)」2022年2月10日 酒蔵プレス(シーエムワン株式会社)(WEBサイト) |
2025年03月現在
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