中之島公園の建築物群
中之島公園は公的機関やオフィスビル、ホテルなどが集積する大阪市の中心部、中之島の東側を占める大阪市の都市公園。1891(明治24)年に、市内で初めて開設された公園で、北側の堂島川と南側の土佐掘川にはさまれ、西は御堂筋(国道25号線)にかかる淀屋橋・大江橋付近から、東は天神橋筋にかかる天神橋付近まで延長約1,000m、開園面積96,725m2の規模で展開し、水都・大阪を十分に感じることができる。園内は24時間立ち入りが可能である。
明治時代後期には、園内に大阪初とされるビアガーデンがオープンしたのをはじめ、カフェ、西洋料理「銀水楼」、日本料理「清華楼」など質の高い飲食店、大阪で唯一外国人が宿泊できる設備をもった「自由亭ホテル」も建ち、賑わいのあるエリアだったと考えられる。
現在は園内中央に「バラ園」が配され、東側には芝生広場が広がり、カフェも営業し、西側には「中之島水上劇場」(イベント広場)が整備されるなど、大阪都心部で水と緑を感じながら人々が思い思いの時間を過ごすことができる親水空間と位置づけられる。淀屋橋・大江橋付近から堺筋にかかる難波橋の間には「大阪市中央公会堂」「大阪府立中之島図書館」といったレトロなビルが並び、公園の緑と都市の歴史的景観が融合している点が特徴的である。
最寄駅は長らく、大阪メトロ御堂筋線・京阪本線淀屋橋駅と大阪メトロ堺筋線・京阪本線北浜駅だったが、2008(平成20)年に公園地下に京阪中之島線なにわ橋駅が開業し、アクセスがさらに改善した。
明治時代後期には、園内に大阪初とされるビアガーデンがオープンしたのをはじめ、カフェ、西洋料理「銀水楼」、日本料理「清華楼」など質の高い飲食店、大阪で唯一外国人が宿泊できる設備をもった「自由亭ホテル」も建ち、賑わいのあるエリアだったと考えられる。
現在は園内中央に「バラ園」が配され、東側には芝生広場が広がり、カフェも営業し、西側には「中之島水上劇場」(イベント広場)が整備されるなど、大阪都心部で水と緑を感じながら人々が思い思いの時間を過ごすことができる親水空間と位置づけられる。淀屋橋・大江橋付近から堺筋にかかる難波橋の間には「大阪市中央公会堂」「大阪府立中之島図書館」といったレトロなビルが並び、公園の緑と都市の歴史的景観が融合している点が特徴的である。
最寄駅は長らく、大阪メトロ御堂筋線・京阪本線淀屋橋駅と大阪メトロ堺筋線・京阪本線北浜駅だったが、2008(平成20)年に公園地下に京阪中之島線なにわ橋駅が開業し、アクセスがさらに改善した。

みどころ
中之島公園中央の「バラ園」では、東西約500m、約13,000m2のエリアに約310種・約3,700株のバラを栽培。例年、5月と10月にモダンローズやイングリッシュローズなどが咲き誇り、一帯は優雅な雰囲気に包まれる。多彩なバラと、周辺のレトロなビル群がつくる華やかな光景を、ぜひ現地で堪能したい。
中之島公園の建築物群で目を引くのが「大阪市中央公会堂」と「大阪府立中之島図書館」である。
「大阪市中央公会堂」は公園西側の大阪市役所・「大阪府立中之島図書館」と「大阪市立東洋陶磁美術館」の間に位置し、1918(大正7)年に「義侠の相場師」「北浜の風雲児」と称された株式仲買人の岩本栄之助*から私財100万円(現在の貨幣価値で数十億円)の寄付を受け、完成した。
地下2階(免震階含む)地上3階建て、鉄骨レンガ造りの建物はアーチ状の屋根が特徴的で、大正時代のネオ・ルネッサンス様式を基本としながらも、バロック建築の壮大さもあわせもつ。複数回の改修によって創建時の意匠が損なわれ、老朽化がみられたことから3年半にわたり建物の保存・再生工事が進められ、2002(平成14)年9月にリニューアルが完了し、同年、国の重要文化財に指定された。重要文化財でありながら、現在でも貸ホール・貸室として利用できる。
館内は地下1階に大会議室や小会議室、展示室、レストラン、地上1階・2階に1,161席を有する壮麗な大集会室(ホール)、地上3階に創建当時のシャンデリアやステンドグラスが印象的なヨーロピアンスタイルの中集会室などを配する。特に、大集会室は1世紀にわたり、国際的なアーティストによるコンサートやオペラ、著名人による講演会などが開催されてきた象徴的な空間である。原則として、貸ホール・貸室の予約者・利用者しか入館できないが、地下1階の自由見学エリアは一般利用も可能で、公会堂スタッフによるガイドツアーに参加すれば3階「特別室」の見学も楽しめる。大正時代に貴賓室として使用されていた「特別室」は、天井や壁面に日本神話が描かれ、窓には鳳凰と、大阪市の市章「みおつくし」がデザイン化されたステンドグラスが飾られている。現在は、会合や挙式、撮影会、展示会などで利用されており、和と洋が融合した、格調高い空間が高く評価されている。
「大阪府立中之島図書館」は、大阪市役所と「大阪市中央公会堂」の間に位置し、現在も利用されている図書館としては国内最古である。第15代住友吉左衛門*の寄付により、1904(明治37)年に「大阪図書館」として開館、その後「大阪府立図書館」を経て1974(昭和49)年に現在の名称となった。
1904年に竣工した本館(中央部分と1号書庫)は、住友家の建築技師長だった野口孫市の設計に基づき、外観はルネッサンス様式、館内はバロック様式を基本として格調高く、建物正面はコリント式円柱に支えられたギリシア神殿を想起させ、ドーム状の中央ホールはヨーロッパの教会をイメージさせる荘厳な建築が特徴である。1922(大正11)年に、再度住友家の寄付により日高胖の設計で左右両翼が増築され、現在の外観となった。ギリシア・ローマの神殿建築を踏襲した建築は見るべき点が多い。正面の中央玄関は19段の階段を上がった基壇に配して風格を醸し出す。円柱の柱頭飾りはギリシャの国花・アカンサスの葉をモチーフとするほか、その上にあるペディメント(三角形の部分)にも屋根を支える垂木を模したとされるデンティール(歯形飾り)を再現するなど、精緻で華麗さを漂わせる。中央のドームは、ローマ建築の伝統に基づいて青銅製の均整のとれた半球体で、建物全体の優美な印象を高めている。ギリシア・ローマ時代の古代建築を理想とするネオ・クラシシズム(新古典主義)とともに、建物全体に通じるバランスの取れたプロポーションの美しさを感じたい。
ドーム内部、中央ホールの巨大な銅板「建館寄付記」には、住友吉左衛門の言葉 「我が大阪は関西の雄府にして、人口百万、財豊かに物殷んにして、諸学競い興る。而かして図書館の設独り焉を闕く(大阪府は人口も多く、色々な物が揃い学問も盛んだが、図書館だけがない。図書館の建物と図書購入の基金を寄付して微力をつくしたい)」が残され、思いを知ることができる。
蔵書数は約65万冊で、立地特性を踏まえ社史や業界データなどビジネス関係の図書・資料を豊富に揃えるほか、文学・歴史・政治・経済など大阪に関するあらゆる分野の図書・資料、和書・漢籍・韓本などの古典籍とその研究書を収集・保存しており、幅広い分野の図書を所蔵するもう一つの府立図書館「大阪府立中央図書館」(東大阪市)と役割分担を図っている。
中之島公園の建築物群で目を引くのが「大阪市中央公会堂」と「大阪府立中之島図書館」である。
「大阪市中央公会堂」は公園西側の大阪市役所・「大阪府立中之島図書館」と「大阪市立東洋陶磁美術館」の間に位置し、1918(大正7)年に「義侠の相場師」「北浜の風雲児」と称された株式仲買人の岩本栄之助*から私財100万円(現在の貨幣価値で数十億円)の寄付を受け、完成した。
地下2階(免震階含む)地上3階建て、鉄骨レンガ造りの建物はアーチ状の屋根が特徴的で、大正時代のネオ・ルネッサンス様式を基本としながらも、バロック建築の壮大さもあわせもつ。複数回の改修によって創建時の意匠が損なわれ、老朽化がみられたことから3年半にわたり建物の保存・再生工事が進められ、2002(平成14)年9月にリニューアルが完了し、同年、国の重要文化財に指定された。重要文化財でありながら、現在でも貸ホール・貸室として利用できる。
館内は地下1階に大会議室や小会議室、展示室、レストラン、地上1階・2階に1,161席を有する壮麗な大集会室(ホール)、地上3階に創建当時のシャンデリアやステンドグラスが印象的なヨーロピアンスタイルの中集会室などを配する。特に、大集会室は1世紀にわたり、国際的なアーティストによるコンサートやオペラ、著名人による講演会などが開催されてきた象徴的な空間である。原則として、貸ホール・貸室の予約者・利用者しか入館できないが、地下1階の自由見学エリアは一般利用も可能で、公会堂スタッフによるガイドツアーに参加すれば3階「特別室」の見学も楽しめる。大正時代に貴賓室として使用されていた「特別室」は、天井や壁面に日本神話が描かれ、窓には鳳凰と、大阪市の市章「みおつくし」がデザイン化されたステンドグラスが飾られている。現在は、会合や挙式、撮影会、展示会などで利用されており、和と洋が融合した、格調高い空間が高く評価されている。
「大阪府立中之島図書館」は、大阪市役所と「大阪市中央公会堂」の間に位置し、現在も利用されている図書館としては国内最古である。第15代住友吉左衛門*の寄付により、1904(明治37)年に「大阪図書館」として開館、その後「大阪府立図書館」を経て1974(昭和49)年に現在の名称となった。
1904年に竣工した本館(中央部分と1号書庫)は、住友家の建築技師長だった野口孫市の設計に基づき、外観はルネッサンス様式、館内はバロック様式を基本として格調高く、建物正面はコリント式円柱に支えられたギリシア神殿を想起させ、ドーム状の中央ホールはヨーロッパの教会をイメージさせる荘厳な建築が特徴である。1922(大正11)年に、再度住友家の寄付により日高胖の設計で左右両翼が増築され、現在の外観となった。ギリシア・ローマの神殿建築を踏襲した建築は見るべき点が多い。正面の中央玄関は19段の階段を上がった基壇に配して風格を醸し出す。円柱の柱頭飾りはギリシャの国花・アカンサスの葉をモチーフとするほか、その上にあるペディメント(三角形の部分)にも屋根を支える垂木を模したとされるデンティール(歯形飾り)を再現するなど、精緻で華麗さを漂わせる。中央のドームは、ローマ建築の伝統に基づいて青銅製の均整のとれた半球体で、建物全体の優美な印象を高めている。ギリシア・ローマ時代の古代建築を理想とするネオ・クラシシズム(新古典主義)とともに、建物全体に通じるバランスの取れたプロポーションの美しさを感じたい。
ドーム内部、中央ホールの巨大な銅板「建館寄付記」には、住友吉左衛門の言葉 「我が大阪は関西の雄府にして、人口百万、財豊かに物殷んにして、諸学競い興る。而かして図書館の設独り焉を闕く(大阪府は人口も多く、色々な物が揃い学問も盛んだが、図書館だけがない。図書館の建物と図書購入の基金を寄付して微力をつくしたい)」が残され、思いを知ることができる。
蔵書数は約65万冊で、立地特性を踏まえ社史や業界データなどビジネス関係の図書・資料を豊富に揃えるほか、文学・歴史・政治・経済など大阪に関するあらゆる分野の図書・資料、和書・漢籍・韓本などの古典籍とその研究書を収集・保存しており、幅広い分野の図書を所蔵するもう一つの府立図書館「大阪府立中央図書館」(東大阪市)と役割分担を図っている。

補足情報
*岩本栄之助:1877~1916年。両替商浅屋の次男として出生。父の跡を受けて株式仲買人として活躍、財をなし、仲買人仲間の窮状を救うなど人々の信望を得たが、後年経営が悪化し、公会堂の完成を前にピストル自殺した。公会堂に胸像がある。
*第15代住友吉左衛門:1865~1926年。東山天皇の男系7世の子孫で、実兄は第12代・14代首相の西園寺公望。1897(明治30)年の欧米視察を通じて、商工業の発展や経営手法を目の当たりにし、住友グループの経営者として実績をあげた。美術、建築など文化に対する造詣も深く、中之島図書館の建設をはじめ、現代のメセナに通じる先駆的な取組みにも積極的だった。
*第15代住友吉左衛門:1865~1926年。東山天皇の男系7世の子孫で、実兄は第12代・14代首相の西園寺公望。1897(明治30)年の欧米視察を通じて、商工業の発展や経営手法を目の当たりにし、住友グループの経営者として実績をあげた。美術、建築など文化に対する造詣も深く、中之島図書館の建設をはじめ、現代のメセナに通じる先駆的な取組みにも積極的だった。
関連リンク | 扇町公園事務所(WEBサイト) |
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参考文献 |
扇町公園事務所(WEBサイト) 大阪観光局(WEBサイト) 大阪市中央公会堂(WEBサイト) 大阪市(WEBサイト) 大阪府立中之島図書館(WEBサイト) |
2025年03月現在
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