大阪市立東洋陶磁美術館おおさかしりつとうようとうじびじゅつかん

中之島公園にある「大阪市中央公会堂」の東側に位置し、韓国陶磁、中国陶磁などを中心に約5,700点を収蔵する。旧・安宅産業株式会社が収集した「安宅コレクション」の東洋陶磁を、主力銀行の住友銀行を中心とした住友グループから寄贈されたことを記念して、大阪市が設立し、1982(昭和57)年に開館した美術館である。
 国宝2件と重要文化財13件が含まれる「安宅コレクション」の中国・韓国陶磁をはじめ、韓国陶磁の個人コレクションでは世界的な質と量を誇る「李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション」、民藝運動の活動家で益子焼中興の祖としても知られる濱田庄司の作品を主体とした「堀尾幹雄コレクション」、酒器を主体とした中国陶磁の「入江正信コレクション」などの寄贈を受け、さらに日本陶磁の購入も進めるなど、東洋陶磁に関する収集・研究では世界でもトップクラスの質と量を誇る。
 展示室では、中国、韓国、日本の陶磁を大きく時代で区分しながら独自の構成で系統的に紹介しており、収蔵品のうち代表的な作品約400点を鑑賞できる。
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みどころ

後漢から明代にかけての中国陶磁144点、韓国陶磁793点などで構成される「安宅コレクション」は、文化遺産として高い価値を有しており、必見である。戦中・戦後に10大総合商社の一角を担った旧・安宅産業株式会社は1975(昭和50)年、経営危機に陥ったことで、同社が収集した東洋陶磁の行方が懸念され、国会でも議論の対象となるほどだった。住友銀行が引き継いだ同コレクションについて、住友グループ21社(当時)が寄付を募り、大阪市に一括して寄贈することで散逸を防いだ経緯も忘れてはならない。
 展示手法として、世界で初めて導入された「自然採光展示室」も注目される。天井に自然光を取り入れるガラス窓を設けており、光ダクトを通じて間接的に自然光が展示ケースに差し込む仕組みで、陶磁器本来の質感や色合いをじっくりと味わえる。
関連リンク 大阪市立東洋陶磁美術館(WEBサイト)
参考文献 大阪市立東洋陶磁美術館(WEBサイト)
住友グループ広報委員会(WEBサイト)

2025年03月現在

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