和泉市久保惣記念美術館いずみしくぼそうきねんびじゅつかん

主に、日本と中国の絵画、書、工芸品など東洋古美術約12,000点を所蔵する和泉市立の美術館として、1982(昭和57)年に開館した。阪和自動車道岸和田・和泉ICから車で約3分に立地し、公共交通機関を利用する場合には泉北高速鉄道和泉中央駅から南海バスで約10分の「美術館前」停留所で下車する。
 施設名に「久保惣」とあるように、和泉市を本拠に明治時代から100年にわたって綿業を展開し、泉州地域の有力企業として成長した久保惣株式会社(1977年廃業)が収集した美術品のほか、美術館の敷地・建物、基金が同市へ寄贈され、創業家である久保家旧本宅跡地に開設。三代目の久保惣太郎(和泉市名誉市民、名誉館長)が開館時に寄贈した後も、1997(平成9)年には五代目で和泉市名誉市民、名誉館長の久保恒彦が美術館新館を寄贈し、以降も久保家や久保惣関係者から音楽ホール、市民ギャラリー、市民創作教室、研究棟が寄贈され、いまでは約16,000m2の敷地を有する施設となった。
 常設展(年3、4回)として日本と中国の絵画、工芸品をテーマに沿って展示するほか、特別陳列(年1回)では収蔵品のうち国宝や重要文化財を主体とした名品を展示。特別展(年1回)は、他館の作品も借用し独自企画による展覧会を開催している。新館では、中国の青銅器・陶磁器・玉器などとモネやルノワール、ロダンなどの西洋近代美術を展示する。また、こうした展覧会以外にも、茶会やコンサート、市民の作品展などを開催し、文化振興にも力を入れている。
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みどころ

日本の書画では、平安時代のかなの名品「歌仙歌合」(国宝)、「貫之集下 断簡・石山切」藤原定信筆(重要文化財)、「熊野懐紙」藤原範光筆(重要文化財)などの古筆が注目。奈良時代以降の経巻と鎌倉時代の墨跡の重要文化財が数点ずつ含まれる。絵画では、鎌倉時代の「伊勢物語絵巻」「駒競行幸絵巻」、室町時代の「山王霊験記絵巻」(いずれも重要文化財)などの絵巻や、「源氏物語手鑑」土佐光吉筆、「枯木鳴鵙図」宮本武蔵筆(いずれも重要文化財)などがある。浮世絵版画も約6000枚が所蔵されており、歌川広重「東海道五十三次 宝永堂版」、葛飾北斎「冨嶽三十六景」などの作品が含まれている。
 中国の書画では、「十王経図巻」(五代~北宋時代)、「鍾馗図」(元時代)が重要文化財に指定されている。また、林宗毅から2000(平成12)年に寄贈された中国の近現代絵画「定静堂コレクション」(412件)も、日本国内では有数のラインアップである。
関連リンク 和泉市久保惣記念美術館(WEBサイト)
参考文献 和泉市久保惣記念美術館(WEBサイト)

2025年03月現在

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