天王寺公園てんのうじこうえん

1903(明治36)年に大阪で開催された第5回内国勧業博覧会の会場東側跡地を整備し、1909(明治42)年に開設された大阪市立の都市公園で、総面積は26万m2におよぶ。大阪メトロ堺筋線・御堂筋線動物園前駅、大阪メトロ堺筋線恵美須町駅、南海電車・JR新今宮駅、大阪メトロ谷町線・御堂筋線天王寺駅、近鉄南大阪線大阪阿部野橋駅の各駅から徒歩圏に立地し、アクセスに優れている。
 大阪市が推進するパークマネジメント「天王寺公園エントランスエリア魅力創造・管理運営事業」を通じて、天王寺駅寄りのエリアなどを対象に管理・運営が近鉄不動産株式会社に委託され、「てんしば」として再整備された。「てんしば」はシンボルでもある約7,000m2の芝生広場を中心に、カフェ、レストラン、コンビニ、産直広場、フットサルコート、ドッグランなどが周りを囲む、あべの・天王寺エリアの憩いの場となっている。また、2019(令和元)年に開業した天王寺動物園ゲートエリア「てんしばイーナ」には、飲食施設やアクティビティ施設、動物園グッズショップ、イベント広場が広がっており、天王寺動物園と「てんしば」を結ぶ賑わいの場となっている。
 園内には主な有料施設として、「天王寺動物園」「大阪市立美術館」「慶沢園」がある。
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みどころ

【天王寺動物園】
 1915(大正4)年に開園し、2025(令和7)年1月1日に開園110周年を迎える。上野動物園(1882(明治15)年開園)、京都市動物園(1903(明治36)年開園)に次いで、国内で3番目に長い歴史を持つ動物園。
 110,000m2ほどの園内に約170種・1,000点の動物を飼育する。動物が生息する区域の景観を可能な限り再現し、そこに暮らす動物のありのままの様子を紹介する生態的展示が人気で、ペンギンパーク&アシカワーフ、爬虫類生態館(アイファー)、アフリカサバンナで取り入れられている*。なお、サル・ヒヒ舎に展示される真っ黒な顔が特徴のドリルは、国内では天王寺動物園でしか見ることができない。
 餌を食べる動物の様子が見られる「ごはんタイム・おやつタイム」などの定期的なイベントに加え、動物たちの夜の姿が観察できる「ナイトZOO」など、期間限定のイベントも開催される。さらに、ズー・スクール、動物園ガイドウォーク、動物園飼育体験講座(職業体験)などの教育プログラムも用意されている。絶滅が危惧される希少な野生動物の繁殖・研究にも力を入れ、実績を積み重ねている。

 【大阪市立美術館】
 天王寺公園のほぼ中央にある高台に立地する。JR・大阪メトロ天王寺駅、近鉄南大阪線大阪阿部野橋駅から天王寺公園のエントランスエリア「てんしば」を通り、黒田門(旧・黒田藩屋敷長屋門)からアクセスする。この地にはもともと、住友家の本邸が建っており、市立美術館の建設に際して庭園(現・慶沢園)とともに大阪市に寄贈され、1936(昭和11)年に本邸跡地に開館した。開館当時からある地上3階建ての本館に加え、1992(平成4)年には本館正面の地下に地下展覧会室(天王寺ギャラリー)が新設された。
 本館展示室では、特別展や企画展示を開催。企画展示では、日本・中国の絵画・彫刻・工芸など約8,700点超の館蔵品と、関西地方の社寺などから寄託された作品を展示する。また、天王寺ギャラリーでは、美術団体が主催する展覧会を開催している。本館3階には、公立美術館としては珍しい専門教育機関の「美術研究所」が併設され、素描に特化した実技研究コースを開講し、作家の育成にも注力している。

 【慶沢園】
 大阪市立美術館の裏側に位置する純日本風の林泉回遊式庭園(敷地面積19,800m2)である。江戸時代からの豪商・住友家本邸の庭園だったが、15代吉左衛門(号は春翠)によって1926(大正15)年、茶臼山一帯の土地、本邸(現在の大阪市立美術館)とともに大阪市へ寄贈された。春翠は1895(明治28)年から同地の買収を始め、1908(明治41)年に着工、10年を費やして1918(大正7)年に完成させた。当初、春翠はこの庭園を「恵沢園」と命名したものの、完成時に「慶沢園」と改めた。
 近代日本庭園の傑作、とされる山県有朋の別荘「無鄰菴」をはじめ、平安神宮神苑、円山公園などの庭園を手がけ、近代造園のスタイルを確立したといわれる造園家・第7代小川治兵衞による設計・施工。林泉回遊式庭園は大名庭園をモデルとしており、中島を浮かべた大池を中心に、三方に築山を配して変化に富んだ地形をつくりあげている。大池の周辺には園路や飛石、橋を配置し、躍動する水の動きを感じられる「沢渡り」の手法が用いられている。
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補足情報

*生態的展示の取り入れ:ペンギンパーク&アシカワーフでは、海洋環境の再現や大型アクリル水槽の活用により、ペンギンやアシカが自由に泳ぎ回る姿、爬虫類生態館(アイファー)では、多種の爬虫類が様々な環境に適応して生活する姿、アフリカサバンナでは岩山に囲まれた環境が再現され、サバンナの動物たちが共生する姿が観察できる。