鶴橋・生野のコリアタウンつるはし・いくののこりあたうん

鶴橋は、JR大阪環状線・近鉄線・大阪メトロ千日前線鶴橋駅周辺に、韓国食品の専門店や焼肉店をはじめ、チマチョゴリなど韓国の民族衣装からブランドファッションまでを取り扱う衣料品店、宝石や時計の専門店、雑貨店などが集積するエリアである。
 最寄りの鶴橋駅は第二次大戦以前からJR(当時の国鉄)と近鉄が直交する乗換駅で、アクセスに優れた立地だった。焼け野原となった終戦直後の1945(昭和20)年秋、同駅周辺に闇市が立ち、その後、さまざまな商品を取り扱う店舗が集積。現在は6つの商店街・市場で構成され、約800店が営業する。キムチや豚足をはじめ韓国の食品を販売する店舗を中心に、世界各地の食材・食品、民族衣装などを取り扱う専門店も多く、「国際市場」としての側面がある。
 生野区(御幸通*商店街)にある大阪コリアタウンは鶴橋駅南東に位置し、東西約500mの間に160を越える店舗が集積する。2021(令和3)年12月に、それまでの3つの任意の商店会が統合され、一般社団法人大阪コリアタウンとなった。キムチをはじめとする韓国食品の専門店、チヂミやキンパ、ヤンニョムチキンなどが味わえる韓国料理の飲食店、韓国の民族衣装専門店が多くみられる。韓流ブームを受け、 韓国の化粧品やグッズも人気である。
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みどころ

鶴橋のコリアンタウンは鶴橋駅を出てすぐのアーケードに所狭しと店舗が密集しており、まさに「大阪屈指の迷宮」(鶴橋商店街振興組合ホームページ)。休日などは買い物客で身動きが取れなくなるほど混雑するが、レトロな雰囲気と相まって「迷宮をさまよう」感覚もお勧めである。お目当ての店を訪れるのもよいが、散策しながらふと、自分の好みのアイテムに出会う瞬間を待ちたい。韓流ブームを受け、最近では韓国の化粧品やグッズを取り扱う店舗も人気である。JR鶴橋駅を出て西側には、焼肉店が集まる「焼肉通り」があり、商店街と同様に、地域住民のみならず国内外の観光客が訪れるエリアとなっている。
 屋内型の鶴橋に対して、生野区(御幸通商店街)の大阪コリアタウンは屋外型。街を歩くと、 店舗はもとより商店街入口に立つ「百済門」や街路灯など、至るところに韓国の文化を感じる。2022(令和4)年より、御幸通商店街は自転車を含む車両が通行禁止(10~18時)となり、より安全に散策を楽しめるようになった。御幸通商店街周辺は「全国で最も在日コリアンの人々が集住する地域」とされ、商店街の多くの店舗は在日コリアンによる経営である。商店街の至るところにハングルの看板や表示があふれ、韓国を訪れたような感覚が味わえる。商店主や人権NPOが修学旅行生を対象に、商店街におけるフィールドワーク、キムチづくり体験、ハングル講座プログラムを提供するなど、多文化共生の理解促進に関する取組み、情報発信にも力を入れている。
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補足情報

*御幸通:現在の生野区の付近には、5世紀ごろ百済から渡来した人々が暮らしており、当時の仁徳天皇が鷹狩のために訪れ休憩した場所が、いまの「御幸森天神宮」。天皇が外出することを「御幸」と呼ぶことが、商店街の名前の由来となった。