京都の14カ所にある京都の六斎念仏は、梅津六斎保存会、吉祥院六斎保存会、久世六斎保存会、小山郷六斎保存会、西院六斎念仏保存会、西方寺六斎念仏保存会、嵯峨野六斎念仏保存会、千本六斎会、中堂寺六斎会、壬生六斎念仏講中、上鳥羽橋上鉦講中、六波羅蜜寺空也踊躍念仏保存会、円覚寺六斎念仏講、桂六斎念仏保存会。このうち10カ所が芸能六斎、ほか4カ所が念仏六斎である。
　芸能六斎では、1人または2人で太鼓の曲打ちをする「四ツ太鼓」、祇園祭山鉾の囃子を導入した「祇園囃子」、能や大念仏狂言の土蜘蛛に取材した「獅子と土蜘蛛」などが呼び物となっている。宗教色が薄れたとはいえ、正式の奉納では最初に「発願」＊、最後に「結願」＊の念仏を唱える。一方、「鉦講」が本流であった念仏六斎にも、太鼓を使う「焼香太鼓」が伝承されている。お盆を中心に地蔵盆や寺社の行事に合わせて演じられる。
　以下ではそのうちの3団体を説明する。
①中堂寺六斎会：壬生の南に位置する旧中堂寺村は、右京域の衰退にともなって、早くから農村となった地域で、洛中に供給する蔬菜類を栽培していた。この地に伝わった六斎念仏は、毎年、8月16日の夜、壬生寺境内で奉納される。2月の節分会には東山区六波羅蜜寺でも奉納。その六斎念仏は風流（ふりゅう）化の強い芸能的な要素を伝えている。
②嵯峨野六斎念仏保存会：阿弥陀寺で、毎年8月23日に、嵯峨野六斎念仏保存会が六斎念仏を上演する。会場は観客との距離が近く、迫力満点。
③円覚寺六斎念仏講：保津峡から登る愛宕山裏参道の水尾集落に円覚寺があり、毎年8月16日、円覚寺六斎念仏講によって六斎念仏が行われる。念仏の詠唱を基本とする念仏六斎は地味でほとんど観光化されておらず、六斎念仏本来の姿を見ることができる。鉦を叩くことから「水尾の鉦講」ともいわれる。