法観寺(八坂の塔)ほうかんじ(やさかのとう)

東山安井または清水道バス停から徒歩5分、二年坂近くの立て込んだ民家の間にあり、八坂の塔で知られる。臨済宗建仁寺派。飛鳥時代の創建と伝えられ、古瓦、塼仏(せんぶつ)*などが出土する京都市内でもっとも古い寺院の一つ。四天王寺式の伽藍だったといわれ、法隆寺式との説もある。聖徳太子が如意輪観音の夢告により創建したというが、一帯は平安京遷都前の八坂氏*の居住地であり、建立には八坂氏が関わったとみられる。古くは八坂寺と称し、「延喜式」では盂蘭盆供養料七寺*の一つとされた。平安時代末期には衰微。その後、再興しては焼失を繰り返した。現在は、室町時代に足利義教が再興した五重塔*、江戸時代後期の薬師堂・太子堂があるだけで、むかしを偲ぶことは難しい。
#

みどころ

国重要文化財の五重塔は1440(永享12)年の再建。堂内は2層目まで拝観できるが、不定休。南側の八坂通から家並み越しに見る塔が美しい。宝形造の太子堂は1663(寛文3)年の建築。薬師堂も同形で同じころに建てられ、薬師如来や十二神将、夢見地蔵を祀る。境内東隅には木曽義仲首塚がある。近江粟津で源氏に討たれた義仲の首がこの付近に埋められたといい、近くの旅館前にあった首塚を寺に移したもの。
#

補足情報

*塼仏:粘土に仏像をレリーフして焼成した薄いレンガ状のもの。堂宇の壁や厨子に貼られた。
*八坂氏:高句麗系渡来人。山城国愛宕郡八坂郷を地盤とした。
*七寺:東寺、西寺、佐比寺、八坂寺、野寺、出雲寺、聖神寺とされる。
*五重塔:高さ46mは、東寺、興福寺に次いで日本で3番目。方3間、本瓦葺の和様建築。初層には五智如来を祀り、その下の礎石は当初からのものである。
関連リンク 京都市観光協会 京都Navi(WEBサイト)
参考文献 京都市観光協会 京都Navi(WEBサイト)
「京都府の歴史散歩 中」山川出版社

2025年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。