真正極楽寺(真如堂)しんしょうごくらくじ(しんにょどう)

市バス錦林車庫前または真如堂前から徒歩8分。かつての本堂の呼び名であった「真如堂」の通称で知られるが、正しくは鈴声山(れいしょうざん)真正極楽寺という。
 寺伝によれば、984(永観2)年、比叡山の戒算上人が、延暦寺常行堂に安置されていた慈覚大師円仁作の阿弥陀如来像を移したのが始まり。のちに一条天皇が本堂を建て、勅願寺となって隆盛した。応仁の乱後、各所を転々としたが、1693(元禄6)年、現在地に再興された。
 広々として閑静な境内には、本堂・三重塔*・元三大師堂・薬師堂・縣井観音堂などの堂宇のほか、塔頭寺院が並ぶ。境内中央に西面して立つ本堂は江戸時代中期の再建。正面7間、側面7間の堂々たる建物で、国の重要文化財に指定されている。慈覚大師円仁の作と伝わる本尊の阿弥陀如来立像も国の重要文化財。女性を救う「うなずきの弥陀」として古来、名高い。このほか寺宝として、運慶願経と伝わる法華経(国宝)、真如堂縁起(国重要文化財)、大涅槃図などが伝わる。
 また、境内は桜、紅葉の名所として知られる。
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みどころ

本尊の阿弥陀如来立像(うなずきの弥陀)は、古くから女性の信仰を集めている。また、九品来迎印の阿弥陀像としては日本最古とされ、洛陽六阿弥陀*の一つともなっている。本尊は毎年11月15日のみ開扉される。本尊の脇に祀られる不動明王像は、平安時代の陰陽師・安倍晴明の念持仏と伝わる。本堂と渡り廊下で結ばれた書院には、「涅槃の庭」「隨縁の庭」という2つの庭園がある。前者は1988(昭和63)年に曽根三郎氏が作庭。東山三十六峰を借景とした枯山水で、石組や白砂で釈迦の入滅を表している。後者は2010(平成22)年に重森千靑氏が作庭。真如堂を菩提寺とする三井家の家紋(四ツ目の家紋)を印象的に配したモダンな庭である。
 境内は京都でも屈指の紅葉の名所。本堂と三重塔の周辺が特に美しく、総門から本堂へ続く石畳の参道は紅葉のトンネルとなる。
 行事では、11月5~15日のお十夜(十日十夜別時念仏会)が有名。十日十夜にわたって念仏を唱え、極楽往生を願う。最終日の15日には本尊が開帳され、中風よけの小豆粥の接待などがある。
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補足情報

*三重塔:本堂に向かって右手前に立つ優美な塔。高さ約30m。1817(文化14)年の再建。
*洛陽六阿弥陀:1番真正極楽寺、2番禅林寺(東山)、3番清水寺阿弥陀堂(東山)、4番安祥院(東山)、5番安養寺(洛中)、6番誓願寺(洛中)。
関連リンク 真如堂(WEBサイト)
参考文献 真如堂(WEBサイト)

2025年05月現在

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