泉屋博古館せんおくはくこかん

地下鉄東西線蹴上駅より徒歩約20分、紅葉の美しさで知られる禅林寺(永観堂)の北、閑静な鹿ケ谷通にある。1960(昭和35)年、住友家旧蔵の美術品を保存、公開するため財団法人を設立。1970(昭和45)年には1号館(青銅器館)が建設され、中国古代青銅器の一般公開を開始。1980(昭和55)年に登録博物館として認可され、翌年から本格的な公開活動を行う。所蔵品は「住友コレクション」*として知られる。中国の殷、周時代の青銅器や漢代以降の鏡鑑などを体系的に展示。青銅器・鏡鑑・仏像・茶道具・書画など合わせ、所蔵品は約3,500件に及ぶ。展示は1号館(青銅器館)と、2号館(企画展示館)に分かれている。2002(平成14)年、住友コレクションの鑑賞の利便性を高めるため東京都港区六本木の旧住友家麻布別邸跡地に分館(2021年より館名は「泉屋博古館東京」)を開設している。
 館の名称は住友家の屋号「泉屋」と中国の青銅器図録「博古図録」からつけたもの。
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みどころ

泉屋博古館は中国青銅器コレクションを有している。3,000年以上前の殷の時代から、中国では高度な鋳造技術が発達し、繊細で複雑な造形の青銅器が数多く生み出されており、その魅力を様々な角度から展示している。1号館内の青銅器館の4つの展示室に時代別に美しく並べられている。
 1号館と2号館の間の中庭も見どころの一つで、東山を借景とした構成で現代的なデザインとなっている。また駐車場と鹿ヶ谷通に挟まれた細長い空間に「泉屋博古の庭」と命名された庭があり、苔むした起伏とせせらぎによって奥行きのある空間を演出している。
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補足情報

*住友コレクション:旧住友財閥の住友家15代当主・住友春翆が主に収集した中国古代青銅器類約600点の寄贈を受け、1960(昭和35)年に財団法人泉屋博古館を設立。その後も仏像や中国明清絵画など継続して寄贈を受ける。住友春翠は、家業の銅山経営をはじめ、様々な事業の拡大と近代化を推し進める一方で、芸術文化にも高い関心を示した。
関連リンク 泉屋博古館(WEBサイト)
参考文献 泉屋博古館(WEBサイト)
「全国博物館総覧」ぎょうせい
「京都ミュージアム探訪」京都市内博物館施設連絡協議会
「京都府の歴史散歩 中」山川出版社

2025年05月現在

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