三船祭は例年5月の第3日曜日に嵐山・渡月橋の上流「大堰川(おおいがわ)」で行われる祭りで、車折神社(くるまざきじんじゃ)の例祭の延長神事として行われている。嵐山へは市バス・京都バス、JR嵯峨野線、嵐電嵐山本線、阪急嵐山線と、さまざまな方法でアクセスできる。
 898(昌泰元)年に宇多上皇(第59代・宇多天皇)が嵐山・大堰川で行った船遊びに由来する祭礼で、昭和御大典(しょうわごたいてん)*を記念し、1928(昭和3)年から始まったもの。祭神である清原頼業が活躍した平安時代の船遊びが再現される。三船の名称は第72代・白河天皇が行幸した際、和歌・漢詩・奏楽に長じた者を三隻の船に乗せ、船遊びしたことに由来しているという。
 車折神社「芸能文化振興会」の総裁である観月ありさ氏が、神輿の座す格式第一の船「御座船(ござぶね)」に乗船され、「扇流し」をご奉仕。龍頭船(りゅうとうせん)や鷁首船(げきすせん)の船上では、雅楽・舞楽の奉納(迦陵頻伽*や胡蝶の舞など)が行われる。ほかにも多くの御伴船(ごばんせん)を浮かべて、王朝の船遊びを再現したものである。
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みどころ

「扇流し」の儀式は足利将軍が嵐山の天龍寺に参詣の際、お供の童が誤って川に落とした扇が優雅であると大変喜ばれたという故事によるといわれている。川の上に響き渡る雅楽の調べとともに扇を流す姿が優雅であり目と耳を楽しませてくれる。それぞれの船の舞楽(舞い)や雅楽が奉納され、日本文化の風流が味わえる行事である。
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補足情報

*昭和御大典:昭和天皇の即位の礼(そくいのれい)。大正天皇の崩御を受け、皇位を継承したことを国の内外に示す一連の国事行為たる儀式。1928(昭和3)年11月10日に京都御所で行われた。中心儀式の即位礼正殿の儀は、諸外国における戴冠式、即位式にあたる。即位の礼後に、五穀豊穣を感謝し、その継続を祈る一代一度の大嘗祭が行われ、即位の礼・大嘗祭と一連の儀式を合わせ御大典(ごたいてん)と称される。
*迦陵頻伽(かりょうびんが):仏典にみえる鳥の名。サンスクリット語のカラビンカの音写。インドホトトギスのこととされ、スズメに類した鳥であるが、ことにその声の美しいことで有名。
関連リンク 車折神社「三船祭」(WEBサイト)
参考文献 車折神社「三船祭」(WEBサイト)
車折神社(WEBサイト)
「四季を彩る 京都 お祭りガイド」メイツ出版株式会社

2025年05月現在

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