二條陣屋
二条城の南、地下鉄東西線二条城前駅から徒歩5分にある。 江戸時代初期の寛文年間(1661~73年)に創建された豪商の屋敷で、現在は小川家住宅として国の重要文化財に指定されている。小川家の先祖はここで公事宿*「萬屋」を始め、1840(天保11)年以後は米・両替商を営み、さらには京都所司代を訪れる大名の宿泊所としての役割をも担っていた。1788(天明8)年の天明の大火*で全焼し、現存の屋敷は嘉永年間(1848~54年)の再建である。屋敷は、この大火を教訓とし、外壁を漆喰塗りとし、窓に土戸を備えるなど様々な防火対策が施されている。2階建て(一部3階建て)の屋敷は、階下に11室、階上に13室の大規模なもの。数寄屋風の意匠を凝らした大広間や「お能の間」などを設け、逗留中の大名をもてなした。さらに武者隠し、隠し階段など奇襲に備えたさまざまな工夫が施されているのが特徴。二條陣屋の名称は一般公開にあたり小川家が命名したという。

みどころ
大広間の天窓にみせかけた武者隠しをはじめ、騙戸(だましど)、隠し階段、落とし階段など、巧妙な仕掛けはさながら忍者屋敷のようである。また音響効果を考えた「お能の間」や、陶板で化粧を施した浴槽をもつ大名湯殿、部屋全体を苫船(とまぶね)に見立てた「苫船の間」など、各室の目的に合わせた創意工夫は数えきれない。
屋敷は今でも家人が居住する民家のため、見学は完全予約制。家人のガイドにより丁寧な説明で理解しやすく、また興味も増す。予約はWEBサイトから。各回10名。
屋敷は今でも家人が居住する民家のため、見学は完全予約制。家人のガイドにより丁寧な説明で理解しやすく、また興味も増す。予約はWEBサイトから。各回10名。

補足情報
*公事(くじ)宿:公事とは江戸時代の民事訴訟のことで、地境、用水、金銭の争い事があった。裁判待ちの訴訟人が逗留するための宿泊所が公事宿と呼ばれるようになった。二條陣屋は京都所司代屋敷、京都町奉行、六角獄舎など幕府の行政・司法関係の建物が集まる地区にあるため利用者が多く集まった。
*天明(てんめい)の大火:1788(天明8)年に起きた大火災。下京の団栗(どんぐり)橋付近から出火したので俗に団栗焼けともいわれ、御所、二条城などを含む市街の大半を焼失した。
*天明(てんめい)の大火:1788(天明8)年に起きた大火災。下京の団栗(どんぐり)橋付近から出火したので俗に団栗焼けともいわれ、御所、二条城などを含む市街の大半を焼失した。
関連リンク | 二條陣屋(WEBサイト) |
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参考文献 |
二條陣屋(WEBサイト) 「京都府の歴史散歩 上」山川出版社 「京都ミュージアム探訪」京都市内博物館施設連絡協議会 |
2025年05月現在
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