錦市場商店街にしきいちばしょうてんがい

四条通の1筋北に位置する錦小路通の商店街。東は寺町通から西は高倉通まで約400m続く。地下鉄烏丸線四条駅、阪急京都線四条烏丸駅または京都河原町駅のいずれからも徒歩約3分。京都市民からは単に「にしき」と呼ばれる食料品の総合市場である。アーケードの下に店がぎっしり並び、それぞれが鮮魚・青果・乾物などを扱う専門店である。ここに出る品物は質のよいことで定評があり、品数も豊富にそろえている。
 市場の起源は古く、平安時代の頃、すでにこのあたりに市が立っていたと推測されている。1615(元和元)年には江戸幕府が魚問屋の称号を許し、鮮魚専門の特権的市場「三店魚問屋(さんたなうおとんや)*」が京都に成立。その一つが「錦の店」(錦市場)であり、これが本格的な魚市場としての錦市場の始まりとされる。
#

みどころ

「京の台所」と称される錦市場。京野菜、琵琶湖の川魚、鱧、グジ(アマダイ)、笹カレイ、湯葉、生麩など…。京料理の料亭や割烹だけでなく、おばんざいと言われる京都の家庭料理にも使われる新鮮な野菜、魚など旬の食材が一堂に集まっている。京都独特の食文化にふれることができ、驚きとともに他の場所では味わえない魅力がある。
 道幅通りの幅は3.3~5mと一般的なアーケード街に比較すると狭いが、それだけに商店街の賑わいが感じられ、店舗の奥行きもより深く感じられる。また赤・黄色・緑のアーケードはカラフルで錦市場の象徴のようになっており、被写体としても人気がある。
 錦市場では店のシャッターをはじめ各所に伊藤若冲*の絵が描かれている。若冲は錦市場の青物問屋の生まれであり、市場の西の入り口あたりに、生家跡を示すモニュメントがある。
#

補足情報

*三店魚問屋(さんたなうおとんや):江戸幕府公認の魚の問屋街。上の店(かみのたな)、錦の店、六条の店の3店。
*伊藤若冲:1716~1800年。江戸時代中期の画家。奇抜な構図、卓越した技巧、極彩色の作品で知られており、近年、日本にとどまらず欧米でも知名度と人気を高めている。「野菜涅槃図」をはじめ若冲の描く絵画には蕪、大根、レンコン、茄子、カボチャなどの野菜のほか、柘榴、蜜柑、桃といった果物までが題材として登場する。錦市場の動向を伝える「京都錦小路青物市場記録」によると、1771(明和8)年頃に錦市場の営業をめぐる争議が起こり、若冲は画業を中断して町年寄として解決に尽力したとも伝えられている。
関連リンク 京都錦市場商店街(WEBサイト)
参考文献 京都錦市場商店街(WEBサイト)

2025年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。