三千院
京都バス大原下車、徒歩10分。鯖街道(若狭街道。国道367号線)の東、大原の里の一角にある。左右に呂川(りょせん)・律川(りつせん)の清流が流れ、周囲には堂々とした石垣を巡らしている。三千院は、最澄が比叡山に根本中堂を創建した際、東塔の南谷に一宇を建てたのが起こりである。860(貞観2)年、承雲が堂塔を整備し、比叡山麓の東坂本(現大津市坂本)の梶井に里坊を置いた。のちの1130(大治5)年、堀河天皇の皇子・最雲法親王が梶井の第14世となり、以後、皇室から住持を迎え入れる門跡寺院となった。このとき大原に政所が置かれた。1232(貞享元)年、梶井御殿が焼失してからは、現在の京都市内を転々。応仁・文明の乱後は大原の政所を本坊としたが、江戸時代に京都御所の近くへ移転。さらに1871(明治4)年、大原へ戻り、三千院と称するようになった。

みどころ
三千院に入ると、前面はカエデのトンネルで、新緑・紅葉のころには豪壮な御殿門を鮮やかに彩り、門跡寺院らしい風格を醸し出している。自然の傾斜を巧みに取り入れた境内には客殿、宸殿(本堂)が立ち、聚碧園*と有清園*の2つの庭園が造られている。有清園の杉木立の中には三千院を象徴する建築である往生極楽院*が流麗な姿を見せている。堂内に国宝の阿弥陀三尊像を安置し、船底天井*や壁には二十五菩薩、飛天などの彩色画像が描かれている。往生極楽院の南側の庭では、苔の中で静かに微笑む「わらべ地蔵」の姿が散見される。このほか境内には寺宝の収蔵展示施設の円融蔵などもあり、往生極楽院の東側にはあじさい苑が広がっている。また、大原の地は大原女*のふるさととしても知られる。

補足情報
*聚碧園:客殿前の池泉鑑賞式庭園。敷地の高低差を利用し、入り組んだ浅い池と刈込から構成される。茶人の金森宗和による修築といわれる。
*有清園:宸殿前から往生極楽院にかけて広がる池泉回遊式庭園。江戸前期の作。苔地に杉が林立し、南北に細長い池や三段の滝を配し、池中に大小の亀島・鶴島を設けている。周囲の渓谷の景観とも調和する。
*往生極楽院:重要文化財。3間四方、単層、入母屋造、柿葺。軒は優美に反り、均整のとれた美しい建物。内部は船底天井*になっている。金色に輝く本尊の阿弥陀三尊像(国宝)は1148(久安4)年の作。中尊は上品下生(じょうぼんげしょう)印を結び、結跏趺坐(けっかふざ)している。脇侍の観音・勢至菩薩はやや前かがみの正座(大和坐り)。この三尊の姿は阿弥陀の来迎を表わしている。
*船底天井:船底のような形をしている天井のこと。 天井の中央部分は、両端よりも高く作られていくため、自然と勾配を付けなければいけないため、船底のような形になっていく。 天井を上げることによって、室内空間が広く感じるようになる。和室で用いられてきたが、特に数寄屋造りの住宅で多く見られる。
*大原女:京都市街地まで黒木売りに出かけた大原の女性。紺衣に御所染の帯をしめて白手甲・白脚絆をはめ、白足袋にわらじといういでたちで、頭上に薪・柴を乗せ、「黒木召せ」と呼び声をあげつつ売り歩いた。大原で余生を送った建礼門院の侍女・阿波内侍が、生計の足しに黒木を売り歩いた姿を伝えたものという。大原では4月中旬~5月中旬に大原女祭りを開催。年中、観光客への大原女衣装の貸出(有料)も行われている。
*有清園:宸殿前から往生極楽院にかけて広がる池泉回遊式庭園。江戸前期の作。苔地に杉が林立し、南北に細長い池や三段の滝を配し、池中に大小の亀島・鶴島を設けている。周囲の渓谷の景観とも調和する。
*往生極楽院:重要文化財。3間四方、単層、入母屋造、柿葺。軒は優美に反り、均整のとれた美しい建物。内部は船底天井*になっている。金色に輝く本尊の阿弥陀三尊像(国宝)は1148(久安4)年の作。中尊は上品下生(じょうぼんげしょう)印を結び、結跏趺坐(けっかふざ)している。脇侍の観音・勢至菩薩はやや前かがみの正座(大和坐り)。この三尊の姿は阿弥陀の来迎を表わしている。
*船底天井:船底のような形をしている天井のこと。 天井の中央部分は、両端よりも高く作られていくため、自然と勾配を付けなければいけないため、船底のような形になっていく。 天井を上げることによって、室内空間が広く感じるようになる。和室で用いられてきたが、特に数寄屋造りの住宅で多く見られる。
*大原女:京都市街地まで黒木売りに出かけた大原の女性。紺衣に御所染の帯をしめて白手甲・白脚絆をはめ、白足袋にわらじといういでたちで、頭上に薪・柴を乗せ、「黒木召せ」と呼び声をあげつつ売り歩いた。大原で余生を送った建礼門院の侍女・阿波内侍が、生計の足しに黒木を売り歩いた姿を伝えたものという。大原では4月中旬~5月中旬に大原女祭りを開催。年中、観光客への大原女衣装の貸出(有料)も行われている。
関連リンク | 三千院(WEBサイト) |
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参考文献 |
三千院(WEBサイト) 「京都の歴史散歩 中」山川出版社 |
2025年05月現在
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