信楽焼の街並みしがらきやきのまちなみ

信楽高原鐵道信楽駅を出ると、左手に高さ5mを超える大きなタヌキ像が迎えてくれる。駅前通りはタヌキや信楽焼を並べた店が新宮神社まで点在する。
 信楽焼は、信楽(しがらき)の町で焼かれる陶器である。信楽焼が盛んになったのは鎌倉時代以降で、穴窯によって農耕用具の種壺などが焼かれていた。これらを古信楽という。室町時代に入り、茶道が流行するとともに信楽焼の素朴な風合が茶人に好まれて、茶陶の窯として知られるようになった。江戸時代以降に登窯が築かれ、茶壺・徳利・火鉢などの日用品が焼かれるようになった。現在は庭園陶器・建築用タイル・植木鉢・花器・食器など、その種類は多岐にわたっている。信楽といえばタヌキの置物が有名であるが、現在のようなタヌキが生産されるようになったのは、昭和に入ってからである。
 新宮神社からのゆるやかな坂道は窯元散策路となっている。ろくろ坂、ひいろ壺坂、窯場坂と名前が付けられている3本の道があり、信楽焼製造工場が点在する。現在使用中の登り窯や近代化遺産になった登り窯も見ることができる。また、新宮神社はこの地域の産土神で、鳥居の左右にある狛犬は陶器でできている。このようなところからも、焼物の里であることが感じられる。
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みどころ

信楽駅に着くと、ホーム一杯にタヌキが出迎え、改札口を出ると5mを超える大きなタヌキ像が歓迎してくれる。新宮神社までの通りには、陶器店が点在し、店先に大小さまざまなタヌキを並べているので楽しくなる。
 駅から徒歩3分の甲賀市信楽伝統産業会館で信楽焼について学んでから、散策や買い物をするとよいだろう。鎌倉時代中期から近世の作品までが年代別に展示され、信楽焼の歴史がわかる。現代作品展も常時催され、信楽焼の情報と文化の発信拠点になっている。   
 新宮神社からのゆるやかな坂道は窯元散策路になっていて、斜面を利用した信楽焼製造工場や登り窯がみられる。陶器の道標や、道路中央に埋め込まれたろくろや壺などがデザインされた陶板が、散策路の目印になっている。近代化遺産になっている丸又窯の登り窯は、 連房式で11室ある。1933(昭和8)年に築窯され、信楽が全国に流通させた火鉢のほか植木鉢や花瓶などを焼いた。 信楽のまちを歩いていると、観光客歓迎・無料駐車場の看板が散見される。温かく迎えてくれて、旅行者にはうれしい。
関連リンク ほっとする信楽(信楽町観光協会)(WEBサイト)
参考文献 ほっとする信楽(信楽町観光協会)(WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)
甲賀市(WEBサイト)
『滋賀県の歴史散歩 上』滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社

2025年04月現在

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