宝厳寺ほうごんじ

琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)(周囲2km、面積0.4km2 )にある。
 寺伝によれば724(神亀元)年、聖武天皇の勅願で僧行基が堂塔を開基させたのが始まりで、弁才天像(大弁才天)を本尊として本堂に安置。753(天平勝宝5)年、近江国浅井郡大領が観音堂に千手千眼観世音菩薩像を安置したとある。豊臣秀吉との関係も強く、多くの書状、多くの宝物が寄贈されている。1602(慶長7)年には、秀吉の遺命により、秀頼が豊国廟より桃山時代の代表的遺稿である観音堂や唐門などを移築させている。
 船着場*から165段もの急な階段の参道を登りつめると明るい境内が開け、背後の天然林に染まったように苔むした屋根と真紅の柱が対照的な本堂(弁才天堂)、五重石塔がある。本堂から少し上がると、三重塔、宝物殿がある。また琵琶湖に落ちこむような急な階段を下ると、豪華絢爛な唐門、西国三十三所観音霊場の三十番札所である観音堂がある。更に観音堂から舟廊下を渡れば、都久夫須麻神社へつながっている。
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みどころ

観音堂の入口にある唐門は、正面に唐破風をかけた向唐門(むこうからもん)の代表的なもので、かつて秀頼によって秀吉の墓所である豊国廟に移築され、さらに竹生島へ移築された。秀吉時代の大坂城のうち現存唯一の遺構といわれている。華麗な桃山建築の好例。
 都久夫須麻神社に続いている舟廊下は、秀吉の御座船を利用して作られたもの。唐門や観音堂は2020年春に修復が完了し、古い木肌色から極彩色に生まれかわり、あでやかな往時の姿を取り戻している。宝物殿には、絹本着色十六羅漢図をはじめ毛抜形太刀などの重要文化財や40を超える寺宝が展示されている。
 竹生島は島全体が国の名勝・史跡に指定され、島の名前が「神を斎(いつ)く島」に由来する。宝厳寺と都久夫須麻神社だけがあり、神と仏のみが宿る島である。パワースポットとしても人気が高い。
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補足情報

*船着場:宝厳寺本堂(竹生島)へのアクセス
「長浜港」「今津港」「彦根港」の各港から定期便有り。長浜港、今津港から竹生島までの所要時間は約30分。彦根港から竹生島までの所要時間は40分。