石馬寺いしばじ

繖山(きぬがさやま)東側の明神山の山裾にある。
 594(推古2)年に聖徳太子がこの山麓に馬をつなぎ、山上に霊地を探して下山すると馬が石と化して池に沈んでいた*というところから石馬寺の寺号がつけられたと伝える。織田信長の兵火を受けて一時衰微したが、松島瑞巌寺(ずいがんじ)の雲居(うんご)国師の手で再興された。
 楓が覆う石段を登ると本堂が見えてくる。大仏宝殿には丈六の阿弥陀如来、一木彫の力強い十一面観音2体、6面6臂(び)6足の大威徳(だいいとく)明王など藤原時代の仏像11体が安置されている。行者像も鎌倉期の作。
 大岩壁を背景とする書院の庭は、白砂と石組に苔の緑が美しい。
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みどころ

苔むす風情の約300段の石段、参道には石仏が並び、大仏宝殿では数々の仏像様に出逢える。本堂の壁面には、聖徳太子筆と伝わる「石馬寺」と書かれた扁額もある。
 近江を深く愛した随筆家・白洲正子(しらす・まさこ、1910-98年)は、『かくれ里』で「苔むした自然石の石段がつづく。(中略)下から見あげる茅葺きの本堂は美しい」と描写した。大仏宝殿内では、「私の興味をひいたのは、水牛に乗った大威徳明王であった。等身大一木作りの、のびのびとした彫刻で、ことに水牛がすばらしい。頭をちょっと左にかたむけ、恭順を示しながら、一朝事であれば飛び出しそうな気配である」と感じている。また、書院に面し、禅風石馬の縁起を表した「石馬の石庭」の背後岸壁を、「後の岩山があまりに見事だからで、(中略)さながら井戸(茶碗)の名品をみるようである」と評している。
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補足情報

*石段登り口の小池に沈む石が馬の化石という。本堂には太子駒つなぎの松がある。
関連リンク 石馬寺(WEBサイト)
参考文献 石馬寺(WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)びわこ
東近江市観光Web(一般社団法人東近江市観光協会)(WEBサイト)
「滋賀県の歴史散歩」滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社
「石馬寺」パンフレット

2025年04月現在

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