霊峰綿向山の山頂にある大嵩神社の里宮で、日野町村井に鎮座する日野谷の馬見岡綿向神社(うまみおかわたむきじんじゃ)の春の例祭。850年以上の歴史があり、湖東地方で大きな規模の祭である。
 毎年5月2日、3日にわたって行われ、2日は宵祭で、夕暮れより各町内の山倉や辻まで曳山が引き出され、提灯に明かりを灯し夜遅くまで祭ばやしが奏でられる。
 3日の本祭では、朝早くから起こし太鼓があり、芝田楽*が午前8時半頃に神社へ宮入し、続いて神幣や神輿駕丁、曳山も連なり宮入りする。昼頃までには各町内より10数基の曳山が神社境内に勢揃いする。拝殿の神輿前で「渡御の盃」が交わされ、出発の太鼓の音とともに、曳山が一斉に祭囃子を奏で、神子を先頭に芝田楽や神輿などが行列となり、御旅所であるひばり野へ出発する。曳山からの祭囃子や神輿の男衆の威勢の良い掛け声が響き、境内は熱気に包まれて、日野の町は祭一色となる。
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みどころ

別名「日野曳山祭」ともいわれ、祭りを彩る曳山やその華麗な装飾品の数々は、日野町衆の繁栄ぶりと文化水準の高さが感じられる。
 16基ある二層露天式の曳山は、近江日野商人が出世開運の神として当神社を崇敬し、その財力により18世紀前半から登場したものである。
 日野祭囃子には、笛、大太鼓、小太鼓、すり鉦の四種類の楽器が用いられ、曳山すべてが共通して「バカバヤシ」「ヤタイ」「オヤマ」といった代表的な曲目を囃す。
 馬見岡綿向神社からお旅所までの本通りに面する家々では「桟敷窓」が見られる。桟敷窓とは板塀を一部切り取り、中に桟敷を作って、日野祭を見るためだけに開けられた日野独特のもの。
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補足情報

*芝田楽:3人の神子と称する稚児を警護する大字上野田で組織する神調社という一団の呼称。裃姿の100人ほどの神調社が日野祭の進行を取り仕切っている。
関連リンク 日野観光協会(WEBサイト)
参考文献 日野観光協会((WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)びわこ
日野町(WEBサイト)
「滋賀県の歴史散歩」 滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社
「近江の祭りを歩く」中島 誠一 サンライズ出版

2025年04月現在

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