福田寺ふくでんじ

JR北陸本線田村駅から徒歩約10分の長沢地区にあり、大きな甍(いらか)が目立つ。長沢御坊(ながさわごぼう)の名で親しまれている。
 寺伝によると、飛鳥時代の684(白鳳12)年に地元豪族の息長(おきなが)氏の菩提寺として建立された。後に近江で最初に浄土真宗寺院となり、戦国時代は一向一揆の拠点の一つとして、浅井長政と共に織田信長に対抗するなど戦乱の舞台にもなった。
 境内にある書院は、浅井長政の居城であった小谷城から移築したと伝えられ、「浅井御殿」と呼ばれる。浅井御殿の南には、国の名勝に指定された鑑賞式枯山水庭園がある。室町末期で蓮如の作と伝わる。また境内に、「蓮如上人お手植えの松」や、湖北一向一揆の犠牲者をまつる「殉教万人塚」などがある。
 春と秋には、古式を伝える行事の公家奴振り(くげやっこぶり)が行われる。
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みどころ

書院の前に築かれた庭園は、砂敷きの枯池を中心とした枯池式枯山水の様式をとっている。枯池の南部と西部に築山、東部に出島を設けている。築山に力強い立石を用いた豪壮な手法の枯滝組立石群、枯池斜面の断続した配石、池畔にまばらに石が置かれて、力強さと繊細さを兼ね備えた強弱のバランスが素晴らしい。規模は約300m2と大きくないが、特に秋の紅葉時は美しい。
 江戸時代末期に、大老・井伊直弼の従兄弟である三乗院摂専が住職をつとめ、その縁で関白左大臣・二条斉敬の妹・かね子姫(明治天皇皇后の従姉妹)を後室に迎えた。その時に伝えられた『公家奴振り』は、春と秋に行われている。紺のハッピに脚袢、ワラジ履の奴が「ヨーイヤセ、アレワイサノサ」の掛け声とともに練り歩く、風流な姿を見ることができる。
関連リンク 米原市(WEBサイト)
参考文献 米原市(WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)びわこ
文化遺産オンライン(WEBサイト)
「図説近江古寺紀行」木村至宏  河出書房新社
「滋賀県の歴史散歩」 滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社

2025年04月現在

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