苗村神社なむらじんじゃ

名神高速道路竜王インターチェンジから東へ4.4kmほど、雪野山と鏡山の間に広がる平野部の綾戸集落の北、大きな鎮守の森にある。近郷33カ村の総社として崇められ、現在でも竜王地方の氏神として信仰が篤い。
 茅葺の楼門(国重要文化財)を挟み東西両社からなる。西本殿(国宝)は、鎌倉時代1308(徳治3)年造営の三間社流造*(さんげんしゃながれづくり)・檜皮葺である。左右には一間社流造の八幡・十禅師両社が並び、透塀の外には拝殿・神輿庫がある。
 楼門からまっすぐ杉木立の参道を進むと、室町時代中期(1393年~1466年)に造営された、腰が高い朱の一間社流造、檜皮葺の東本殿(国重要文化財)がある。神社に属する不動堂には昔の神仏習合を示す鎌倉時代の不動明王像を安置する。
 祭礼は、神輿渡御が催される春の例大祭(4月20日)や渡御場の馬場駆けが行われる節句祭(5月5日)のほか、秋には33年に一度行われる式年大祭がある。近郷33カ村が参加する大祭で、神輿渡御や山車・武者行列、太鼓踊り、鎌踊りなどが奉納される。
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みどころ

西本殿(祭神・国狭槌命(くにのさづちのみこと))が、969(安和2)年大和国(現・奈良県)の金峰山より遷座されたのを始まりとし、前日に植えた杉苗が一夜にして森になったことから、苗村の社名がつけられたという。古式の流造が優雅なこの西本殿は、県内に現存する同形式の本殿中、最古のものである。
 東本殿(祭神・大国主命(おおくにぬしのみこと)・素盞嗚尊(すさのおのみこと))が安置されている。社殿は簡素な造りだが、それぞれの蟇股(かえるまた)内の彫刻など細部の意匠が優れている。
 一般の明王像は直立不動であるが、ここ不動堂の明王像は、太い眉の間にシワを寄せた顔を左に向け、さらに上体をひねった動きのある像になっている。
 年末年始は、年越詣りから元日の朝まで氏子青年会による甘酒の無料サービスがあり、多くの初詣客で賑わう。
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補足情報

*三間社流造:正面から見て柱間(柱と柱の間。柱が2本で1間、3本で2間、4本で3間となる。)が三つ、横から見ると前方の屋根が流れるように伸びている。
関連リンク 苗村神社(WEBサイト)
参考文献 苗村神社(WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)
「苗村神社」竜王町教育委員会 リーフレット
「滋賀県の歴史散歩」 滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社

2025年04月現在

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