二見興玉神社ふたみおきたまじんじゃ

JR二見浦駅より徒歩約15分。海辺より賓日館などがある旅館街、松並木を抜けた先が立石崎である。主祭神は猿田彦大神、相殿が宇迦乃御魂大神。眼前の夫婦岩の沖合700mには、二見浦*に入られた天照大神を猿田彦大神が出迎えたとさえる「興玉霊石」が鎮まっている。「興玉神石」を拝するための神聖な鳥居として夫婦岩に注連縄を張り遙拝所としたことが創始とされる。天平年間に僧行基が江寺を創建し興玉社を設けたが、のちの神仏分離により元の二見浦に鎮座し、1910(明治43)年に宇迦乃御魂大神を祭神とする元三宮神社を合祀した。現在は神社本庁の別表神社である。
 大注連縄張神事は、夫婦岩に大注連縄を新たに張り渡す神事であり、年に3回執り行われる。また境内には猿田彦大神の使いである蛙(置物)が数多く奉納されているが、これは神宮を参拝する旅人の旅の安全と邪気を祓うものと伝えられている。
 古来より立石浜で汐水を浴びて身心を清める禊をしてから伊勢神宮に参拝することが習わしであったが、今では二見興玉神社に参拝することで禊(浜参宮)としている。
#

みどころ

夫婦岩の中間がちょうど富士山の方角にあたり、富士山の背後から昇る「日の出」が観測され、「ダイヤモンド富士」の愛称で呼ばれている。
 また、旅館街の中に皇族などの宿泊施設として建設された国の重要文化財「賓日館(ひんじつかん)」がある。1887(明治20)年に開館したものであり、当時の記憶を残す貴重な建造物となっている。
#

補足情報

*二見浦:五十鈴川本流の河口高城浜から東へ5km、立石崎に至る海岸である。伊勢神宮の禊場(みそぎば)であり、二見興玉神社*内にある夫婦岩は全国的にも有名である。遠浅の海岸は、夏は海水浴場(日本最初の公認海水浴場)として賑わい、かつては臨海学校の利用も多く、砂浜のつづきに潮湯治をうたった旅館街が栄えた。