桑名のハマグリ料理くわなのはまぐりりょうり

桑名で獲られる「ハマグリ」は、地元では「地(じ)はまぐり」と呼ばれ、伊勢湾の海水と木曽三川から流れ込む栄養豊富な川水が混じり合う豊かな漁場で育まれる内湾性の「ハマグリ」であり、全国でも珍しくなった日本古来の「ハマグリ」種である。特に「焼き蛤(はまぐり)」は十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも紹介されるなど、江戸時代から歴代将軍に献上されるとともに東海道・桑名宿の名物として知られている。
 桑名のハマグリは滑らかな舌触りとやわらかくジューシーな味わいが絶品で、現在でも市内には十軒以上の料理店でハマグリ料理が提供されている。
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みどころ

戦後の高度成長時に行われた埋め立てや名古屋港の防潮堤建設、地下水のくみ上げによる地盤沈下などの影響で、多くの干潟が失われ、桑名のハマグリの水揚げは激減した。こうしたハマグリの激減に危機感を持った当時の若手漁師が「後世にハマグリを残したい」という熱意から、種苗生産の可能性を研究し、実用化に至っている。その後の赤須賀漁業協同組合による「ハマグリの資源管理」の取り組みは、・漁獲サイズは3cm以上、・漁獲量は1人1日10~20kg内(資源量により決定)、・出漁日は週3日、・漁協共販(セリ)にて販売といった自律性の高い内容となっている。現在、三重県によって「三重ブランド」の認定を受けている。
 なお、赤須賀は大都市名古屋に隣接する漁村で、現在でも150人ほどの漁師が通年ハマグリ、シジミ漁を行うとともに、冬季には白魚漁や黒ノリの養殖などを行っている。その歴史は古く、室町時代から約460年にわたって漁業を営んでいる。
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補足情報

有名な「その手は桑名の焼き蛤(そのてはくわなのやきはまぐり)」は、「食わな」と「桑名」、桑名名物「焼き蛤」とを語呂(ごろ)合わせした句で、そんなうまいことを言っても騙されない、その手は食わないという意味のしゃれである。