根尾谷断層ねおだにだんそう

1891(明治24)年10月の濃尾地震*で生じた断層の一つ。岐阜県の南西部にある本巣市根尾地域を中心とする断層は、南北延長80kmにわたる大断層線が地表に現われた。なかでも水鳥(みどり)付近は特に大きいところは上下6mの縦ずれ、左に約4mの横ずれがあり、その断層崖が地表に露出している。同地区の断層崖は国指定の特別天然記念物に指定されている。
 ピラミッド型の三角屋根の地震断層観察館は、根尾谷断層を保存し、断層のズレを直接観察できる施設である。濃尾地震100周年を記念し整備され、大きなピラミッド型屋根の地下観察館と円柱形ドームの地震資料館・体験館がある。
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みどころ

濃尾地震は、地震の規模を示すマグニチュードが8.0という日本における最大級の内陸直下型地震*であり、規模も大変大きく、揺れと同時に大地に大きなずれが生じ、根尾谷断層が地表に現れた。根尾谷断層は、日本で近代的な地震研究が始まってから確認できる最初の地震断層で、その価値は非常に高い。
 「地震国、日本」において、地震のメカニズムを学ぶ上で、地震によって出現した断層を見ることができる「根尾谷断層」は格好の学習材料で、学校教育において必ず見せるべき資源といえよう。
 世界で最初の地震断層観察館は、観察・学習・体験を通して地震について学べる施設。根尾谷断層が眼前に飛び込んでくる地下観察館では、大変動を起こした自然の脅威に圧倒される。地震資料館では、初期微動を再現した激しい地鳴りが響き渡る歓迎震路から入り、模型や写真・資料等で地震の仕組みや被害への理解が深められる。地震体験館では、起震装置とスクリーンに映し出される3次元映像により、震度6の地震を体験することができる。
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補足情報

*濃尾地震:1891(明治24)年10月28日6時37分、岐阜県南部から愛知県地方に発生したマグニチュード8.0の大地震。最大有感距離800kmに達したといわれ、近年日本の内陸部で起った地震としては最大級。死者は7,273人、負傷者1万7,175人に及び、全壊家屋は約14万戸を数えた。
*内陸直下型地震:内陸部にある活断層で発生する、震源の浅い地震。人の住む土地の真下で発生する地震。阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)、新潟県中越地震などが代表的である。