仁科神明宮にしなしんめいぐう

大町市の南部、安曇沓掛駅の東にあり、日本最古の神明造神社。祭神は天照皇大神。中世初頭、この地域は伊勢の皇大神宮(内宮)に寄進され仁科御厨となった。この仁科御厨の鎮護の社として創建されたのが仁科神明宮で、創建の頃より仁科氏が神役として仕えていた。創建は康和年間(1099~1104年)ごろと推定される。
 20年に一度の式年遷宮*は、640年以上続いて行われている。宝物館に御正体懸仏*16面と木造棟札*が保存されている。
 2019(令和元)年に執り行われた式年遷宮祭で修復された国宝指定の社殿は樹齢800年前後の大杉や檜の杜と雅な世界を映しだしてる。
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みどころ

苔むした境内と深い社叢のなかに神明造の拝殿と本殿*が立つ。神明造はヒノキの素木の美しさを活かした簡素で直線的な建築様式。本殿・中門・釣屋は1636(寛永13)年に造営されたもので、国内に現存する最古の神明造建築である。
 境内は大杉、ヒノキが茂る鎮守の森で、市街地から離れていることもあり静寂で神聖な空気に包まれている。また、境内には23の末社があり伊邪那美命、須佐之男命などの神様を祀っている。
 仁科神明宮では、新コロナウイルス疫病の終息を願う参拝者へアマビエの木彫(大町在住の現代工芸美術家、高橋貞夫氏作)を展示している。(林 清)
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補足情報

*式年遷宮: 伊勢の皇太神宮にならい二十年に一度社殿を新しくする遷宮祭。南北朝の1376(永和2・天授2)年からの記録は木造棟札として保存されている。640年を超える長い間一度も欠かすことなく奉仕され、その記録を遺してきたことは全国に例がない。1636(寛永13)年以降は社殿の部分修理のため、日本最古の神明造の社殿となっている。
*御正体懸仏:弘安元年などの銘があり、ほとんどが鎌倉時代の作。銅製で5面が重要文化財。
*木造棟札:遷宮の際の記録を記したもので、1376(永和2・天授2)年から1858(安政5)年に至るまでの27枚がすべて残っている。
*本殿:正面2間、側面2間、神明造、桧皮葺。
関連リンク 国宝・仁科神明宮(WEBサイト)
参考文献 国宝・仁科神明宮(WEBサイト)
信濃大町なび(一般社団法人大町市観光協会)(WEBサイト)
「国宝仁科神明宮」(パンフレット仁科神明宮社務所)
「出逢いの杉 国宝仁科神明宮の森へ」(パンフレット大町市観光協会)

2022年09月現在

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